麻生前財務相を外し、安倍元総理の意向を“無視”… 岸田総理の人事への評価は

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「麻生さんを外したことを見てほしい」

 解散を決断し、自信に満ち溢れた表情を見せた岸田文雄新総理。党役員と官僚人事に透けて見える思惑とは――。

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 いよいよ、船出となった岸田総理は周囲に、

「来年の参院選までは大変だ。うちの派閥は人数が少ない。すぐに好きな人事はできないだろう」

 と「弱い派閥」ゆえの苦悩を漏らしている。1982年、田中角栄の後押しで誕生した中曽根康弘内閣も、官房長官や重要ポストを田中派に譲り、融和を図った歴史がある。「田中曽根内閣」と揶揄された所以だ。

 実際、今回も官房長官と幹事長ポストは自派閥で出さず、党役員と閣僚人事も岸田陣営の勝利に貢献した派閥に配慮されている。ただし、中でも岸田総理は、

「麻生さんを外したことを見てほしい」

 と強調しているという。今回の人事で「3A」の一人である麻生太郎前財務相は閣内から外れ、党の副総裁に就任した。歴代3位、約8年9カ月に及んで安倍政権、菅政権を支えた重鎮の首に岸田総理が鈴をつけたのだ。自分は与党実力者の傀儡(かいらい)ではないと強調したかったのか、さらに、もう一人の「A」に対しても――。

安倍元総理の要望を無視

「安倍元総理の要望は受け入れられませんでした」

 と、囁くのは細田派(清和研)関係者。

「安倍さんは出身派閥の細田博之会長に対し、何度も電話して“高市早苗を幹事長に”と要望していました。さらに、官房長官は萩生田光一さんにという希望も持っていた。ただ、派内には安倍さんの高市幹事長案について、二人とも派に属していないことから、“部外者が部外者を推すようなもの”と怒る人も出た。そこで調整能力に長けている松野博一さんを官房長官に据えるべく細田さんは岸田さんに直談判しました。岸田さんは安倍さんに連絡をとっておらず、人事の結果に安倍さんは不満を募らせていました」

 しかし、もう一人の「A」にはおんぶにだっこなのだから、皮肉という他ない。

 政治部デスクが解説する。

「党役員人事は幹事長となった甘利明さんの独壇場ですよ。幹事長代理には同じ神奈川選出で、盟友である田中和徳元復興相を起用し、国対委員長には甘利さんが主宰するグループに参加する元復興相の高木毅さんを起用する意向です」

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