地方大学はドラフト候補の“隠し金山”? 「無名校」で鍛えたプロ注目の7人

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14奪三振完投と圧巻の投球

 大学野球の花形といえば、東京六大学野球であり、東都大学野球や首都大学野球、関西学生野球がそれに続き、全国大会での優勝回数やプロ選手の輩出もこれらのリーグが圧倒的な多数を占めている。だが、大学野球の全国的な実力差は年々小さくなっており、プロ野球でもいわゆる地方リーグ出身の主力選手が増えている。東京五輪で金メダルを獲得した侍ジャパンのメンバーをみると、ソフトバンク・柳田悠岐(広島経済大)、広島・栗林良吏(名城大)、伊藤大海(苫小牧駒沢大、現北洋大)など6人が地方リーグ出身者だ。さらに、10月11日に開かれるドラフト会議でも、地方リーグから指名が有力視されている選手は少なくない。

 まず、1位候補の可能性が高いのが、大学生屈指のサウスポーとされる隅田知一郎(西日本工大)だ。隅田は、高校3年時に初戦で敗れたものの、甲子園でも好投を見せており、希望すれば、もっと実績のある大学に進学することも可能だったはずだが、全国的に無名の西日本工大に進学。そこで着実に力をつけてきた。

 隅田の名が一躍全国区となったのは、今年6月の全日本大学野球選手権だ。初戦で上武大に0対1と惜敗したものの、14奪三振完投と圧巻の投球を見せた。地方リーグで評判となる投手は、スピードがあっても変化球やコントロールに課題を残すことが多いが、隅田にはそれが当てはまらない。多彩な変化球を低めに集めるコントロールと投球術は、大学トップクラスの実力を誇っている。既に、複数の球団が1位候補にリストアップしている模様で、最初の入札で重複する可能性も高いだろう。

リーグ新の1試合19奪三振

 続いて、投手で2位以内の上位指名も狙えそうなのが、長谷川稜佑(青森大)と桐敷拓馬(新潟医療福祉大)だ。長谷川は下級生の頃には目立つ存在ではなかったが、昨年秋から台頭すると最終学年で大きく成長した。春のリーグ戦では最速155キロをマークし、リーグ新となる1試合19奪三振を記録。コントロールに少し不安は残るものの、たくましい体格から投げ込むストレートの威力は今年の大学生の中でも1、2を争うレベルにある。パワーピッチャーが欲しい球団には垂涎の存在と言えるだろう。

 一方の桐敷は、中日・笠原祥太郎やオリックス・漆原大晟と、近年立て続けに好投手を輩出している新潟医療福祉大でプレーしている。身長は178cmで上背があるわけではないが、年々体つきが大きくなり、それに伴ってストレートと変化球が着実にレベルアップ。春のリーグ戦では、最速150キロの大台に乗せ、55回1/3を投げて71奪三振と見事な成績を残した。三振を奪える本格派サウスポーという点は、前出の隅田と共通する魅力であり、左投手が不足する球団が高い順位で獲得を狙うことも十分に考えられる。

 ここまで挙げた3人と比べると評価は低くなるが、松井友飛(金沢学院大)はスケールの大きさが光っている。石川県立穴水高時代は部員数が少なく、3年間で公式戦0勝と全く実績はなかったが、大学で急成長。2年秋には主戦として、明治神宮大会に出場した。190cmの長身から投げ下ろすストレートは、抜群の角度があり、今秋には150キロの大台を突破した。上背に見合った筋肉量と体力がつけば、見違えるような投手になる可能性を秘めている。

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