「すれ違い不倫」で年上女性と33年間交際 還暦男が語る“2人の女性の存在”
「実は離婚していた」
28歳で同期のゆかりさんと結婚した真幸さん。妻は結婚と同時に退職した。
「会社の同僚と婚姻届を出したと久美さんに告げると、彼女は『そう』と静かに言いました。これで立場が同じになった。だから関係は変わらないと私は思っていました」
30歳で長女を、32歳で長男をもうけた。ごく普通の家庭で育ったゆかりさんは、「ごく普通の家庭」のありようを真幸さんに教えてくれた。ゆかりさんの実家にもときどき一家で出かけたが、「どこかなじめなかった。それぞれが役割を果たしているお芝居のように見えて……。家族がどんどんいなくなっていった私のひがみなんでしょうけど」と彼は自嘲気味につぶやく。
「久美さんと同じ立場になって関係を続けるためには、結婚しなければいけないと思い込んでしまった。ゆかりはいい妻ですが、本当は私は家庭を持つのが怖くてたまらなかったんです。家族がまた次々といなくなったらどうしようという不安が強くて。でもゆかりには心の底まで話すことはできなかった。ゆかりはゆかりで、若くして家族を失った私をなんとか元気づけようと思っていたみたいですね。ありがたいけど、素直に受け止められなかった」
第二子である長男が生まれたあとで、真幸さんは久美さんから「実は離婚していた」と打ち明けられた。彼が結婚してすぐ、協議離婚が成立したのだという。
「もっと早く結婚するかもしれないと久美さんに言っていれば、久美さんがもっと早く離婚を考えていると言ってくれれば……お互いにそう嘆きました。しかも、彼女は何年も離婚の事実を隠していたわけです。『あなたを惑わせたくなかったから』と言っていたけど、子どもが生まれる前なら、まだ取り返しはついたはず」
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