眞子さまのご結婚騒動を「ローマの休日」と比較してみると… プリンセスを“利用”する姿勢は作品と真逆
9月27日に緊急帰国した小室圭さん。国民の大きな注目を集めた小室さんの振る舞いを、ハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授はどのように見たのか。
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ニューヨークで記者から声をかけられた小室さんは、会釈すらせずに顎を突き出し、ほつれた髪をサッと素早くかき上げると、ポケットに手を突っ込みました。その様子を見る限り、ロイヤルファミリーの所作とは対極にあると感じます。
ロングヘアーにしたのは反抗心の表われで、日本中に批判されようと“負けるものか!”という意気込みからでしょう。また、無造作に髪をかき上げるのも、常に優雅な仕草が求められるロイヤルファミリーの振る舞いではありません。加えて、“顎を上げる”のは専門用語で「自己高揚的自己呈示」と呼ばれるもので、他人よりも自分が偉いと誇示する心理状態のときに生じる動作です。
王室や皇室のないアメリカではロイヤルファミリーへの崇敬の念が強く、将来、天皇の義兄となる小室さんはそれだけでアメリカ企業にとって雇う価値があります。そうした事情を理解し、自らをプリンセスの婚約者であると高く評価しているせいで、驕(おご)り高ぶった振る舞いを見せてしまうのでしょう。
一般人と王族とのロマンスで思い出すのは「ローマの休日」です。この映画ではオードリー・ヘプバーン演じるアン王女と、グレゴリー・ペック扮する新聞記者、ジョーとの秘めたる恋が描かれました。
映画のタイトルには、闘技場(コロッセオ)で剣闘士たちの戦いを見世物として楽しんだ、古代ローマ人の休日の過ごし方が、逆説的な意味で使われています。つまり、自分たちの恋愛を見世物にしたくないという、アン王女とジョーの思いが込められているわけです。
ひとときの逢瀬を楽しんだ後、アン王女は国民を想う王族の立場に戻り、ジョーもふたりで過ごした日々をスクープ記事にはしません。だからこそ、記者会見で印象に残った都市を尋ねられたアン王女が「ローマです。生涯忘れ得ぬ場所になるでしょう」と答え、その真意をジョーだけが知るという切なくも美しいエンディングを迎えるのです。
残念ながら、眞子さまと小室さんは、アン王女とジョーのように高度な価値観を共有されているようには思えません。小室さんに至っては、お相手を思い遣(や)るどころか、プリンセスの婚約者であることを計算高く利用しているように映ります。見世物になるのが嫌なのであれば、皇室の権威を使わずに、おふたりだけの力で生きる姿を示していくしかありません。