「岡本和真」はスランプ真っただ中、「村上宗隆」とは何が違うのか【柴田勲のセブンアイズ】
2連勝でも勢いは中途半端
自力優勝の可能性が消滅した巨人が徳俵に足を掛けて首の皮一枚で踏ん張っている。
1日からのDeNA3連戦(東京ドーム)、2連勝で迎えた3日の試合、1点を追った9回に2死二塁から代打・大城卓三の同点二塁打で引き分けた。これで首位・ヤクルトとは5.5ゲーム差、2位・阪神とは4.5ゲーム差となり、執念の引き分けも半歩後退した格好となった。
ただ本当の勢いがあったらサヨナラ勝ちしていたのではないか。2連勝していたとはいえ巨人の勢いは中途半端だった。
ヤクルト、阪神は9月28日からのDeNA戦、広島戦をそれぞれ1勝2敗、3連敗と負け越した。巨人も両チームに歩調を合わせたように中日に3タテされた。
後から考えるとこの時、一つでも二つでも勝っておけばよかったとなるのだが、肝心の勝負所に来てチーム力が落ちていた巨人には勢いがなかった。ハッキリ言って、このようなチームに優勝は難しい。
首位のヤクルトは先月9連勝した。こんなチームには必ず反動がやってくるものだが前回のコラムで「あっても2連敗か、3連敗だろう」と見立てたように29、30日の2連敗で止まった。投打のバランスがいいチームはそうそう大崩れしないものだ。
ダボハゼのようになんでも振る
巨人が大逆転優勝するためには5日からのヤクルト3連戦(神宮)で3連勝をする。これしかないと思う。1敗でもしたら今季の優勝は絶望的だろう。
今回の直接対決は巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆の「4番対決」でもある。この二人の打撃が勝敗のカギを握る。
岡本和はいま、スランプの真っただ中にいる。9月24日の阪神戦では5打数2安打3打点の活躍だったものの、以後は10月3日までの直近8試合で24打数2安打、打率.083、打点は0だ。
とにかくボール球に手を出している。ダボハゼのようになんでも振る。もっとどっしりと構えて、打てる球に狙いを絞ればいいのだが、打てないから焦る。焦るからなんとかしようと思いまたボール球を振る。低めのフォーク、外へ逃げるスライダーなんてそうは打てない。相手投手の術中にはまっている。失投は必ずある。その失投を一撃で仕留める気構えが必要だ。
岡本和、どちらかといえばスランプに入ると長いタイプだ。それが肝心の勝負所で来てしまった。4番には必ずチャンスが巡ってくるものだ。その4番が打てないのだから、巨人に勢いが生まれない。
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