岸田政権、実行力が疑われ早くも流れる短命説…最大のがっかり人事は「松野官房長官」

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政権の浮沈を決める官房長官

 特に注目すべきは、官房長官の人事です。官房長官は首相を最も近くで支え、政策実現に向けて官僚組織をグリップし、内閣のスポークスマン役を果たすポストです。官房長官と首相の二人三脚は極めて重要で、足並みを揃えてこの3つの役割をきちんとこなさないと、政権の屋台骨が揺らいでしまうのです。

 歴代政権でも官房長官が浮沈のカギを握ってきました。2001年から5年5か月政権を担った小泉純一郎首相は、福田康夫氏、細田博之氏、安倍晋三氏と3人の官房長官を任命しましたが、必ず自派閥から登用しました。「聖域なき構造改革」を掲げて郵政民営化、道路公団民営化など党内の抵抗が強い政策を遂行するためには、官房長官は絶対の味方でなければならなかったからです。そして郵政解散の前には幹事長までも、自ら「小泉首相の偉大なるイエスマン」と言ってはばからない武部勤氏に代えて、法案採決で反対した議員を党から除名した上で総選挙で刺客を送り込み、大勝しました。

安倍元首相は失敗して学んだ

 一方、2006年に小泉首相の後を受けた安倍首相は、他派閥で当選同期(当時4回)の塩崎恭久氏を官房長官に抜擢しました。塩崎氏は政策通でしたが、霞が関はおろか官邸内もうまくまとめられず、「お友達内閣」と揶揄されて第一次安倍政権の躓きの原因となりました。

 捲土重来を期した安倍氏はその反省を活かして、2012年の第二次政権では盟友でありかつ実務能力があり、官僚にも睨みが利く菅義偉氏を官房長官に据えて、安定政権を作り上げたのは皆さんご存じの通り。安全保障関連法案も森友・加計問題も菅官房長官が霞が関を抑えつつ首相を徹底的に守らなければ、良くも悪くも7年8か月もの長期政権にはならなかったでしょう。

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