湘南美容で脱毛サービス改悪? 専門家は「手抜きとも言える変更」と指摘

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ステロイドは難しい薬剤

 配布される抗炎症薬は合成副腎皮質ステロイド剤で、この女性が受け取ったものは内容量5グラムの「リドメックスコーワクリーム」という薬剤だった。

 先の百束氏は、

「背中など、脱毛した箇所によっては自分で塗るのが難しい部位もあります。帰宅後に塗り忘れることもあるでしょうし、お客さんに自分で塗らせるというのは適切ではありません」

 このクリームには〈用法 赤身やかゆみがある部位に1日1回~数回適量を塗ります(赤みやかゆみが消失したら使用を中止してください)〉と記載されているが、使用にはさらなる注意が必要だという。

「ステロイドはよく効く分、使い方が難しい薬剤でもあります。適切な使用方法を守らないと、毛包炎やステロイド皮膚炎などの副作用を起こす可能性があり、医者が塗り方や塗る量、塗る期間についてきちんと説明し、それを守ってもらわなくてはなりません」(同)

 ステロイド皮膚炎というのは、ステロイドを長期間塗ると起こる可能性がある疾患で、赤みや痒みを引き起こすものである。

「ステロイド皮膚炎を脱毛による炎症だと勘違いし、ステロイドを塗り続けることでさらに悪化する可能性があります。だから、お客さんに“勝手にステロイド剤だけ塗っておいて”と薬剤を渡すのは、無責任です。さらにステロイドの主な副作用の中には多毛といって、産毛を太くさせるものがあり、脱毛後に塗った炎症止めで産毛が太くなってはせっかく施術したのに勿体無いです。同じ抗炎症薬でも、せめて副作用の心配が少ない非ステロイド性のものを渡すべきでしょう」(同)

2本目以降は有料

 さらに、〈次回以降は、希望時有料にてご購入とさせていただきます。※2本目以降はご購入となります〉と記載されている。つまり、最初に配布された抗炎症薬を使い切ったあとは、追加で購入しなければならないのだ。

「全身脱毛など、脱毛の範囲が広い人は、5グラムの薬剤をすぐに使い切ってしまうでしょう。その場合は、お客さんが脱毛の度に新しい炎症薬を購入することになるわけですから、たとえ価格が安いとしても、クリニックは薬剤販売の利潤を得られます」(同)

 実際、今回の変更を受けてSNS上では〈炎症止めが足りない〉といった不満の声が上がっている。

「もともと湘南美容クリニックは、ベルトコンベヤー式に大量のお客さんに対応し、いわば薄利多売で利益を上げてきたところです。しかし、クリニックと名乗るのであれば、利益だけを追い求めるのではなく、患者さんのためになるようにより安全で丁寧なサービスを求めるべきではないでしょうか」(同)

 取材に対しSBCメディカルグループマーケティング部は、

「使用する機器によっては、全てのお客様にお冷やし・ローション塗布の両方を実施していましたが、抗炎症効果、副作用リスク、これまでの臨床実績などを総合的に検討した結果、ご指摘の変更を行いました。説明書の記載を変更しましたが、今後も、個別のお客様の状態を踏まえて、必要に応じて、お冷やしやローション塗布を行うこともございます」と回答。

 ステロイド剤を使う理由については、

「効果面と当グループにおける有害事象報告が極めて少ない実績を踏まえてもステロイド外用剤が妥当であると判断しております」とのことだった。

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