湘南美容で脱毛サービス改悪? 専門家は「手抜きとも言える変更」と指摘

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 医師が次々と好きな言葉を唱えるCMで有名になったSBC湘南美容クリニックは、2000年に神奈川県藤沢市に開院した。その後、20年余りでグループ全体では100院超を展開し、美容医療市場トップに急成長した。現在は、代表の相川佳之氏が登場するCMが放送中のこのクリニックで、脱毛施術のサービスに関して美容医療の専門家や利用者から疑問の声が上がっている。

脱毛のサービス内容変更

「湘南の医療脱毛は、毛を生やす機能を壊します」と、グループ代表の相川氏がCMでアピールするように、湘南美容クリニックの脱毛の施術は、両脇1回500円、VIO1回9800円と医療脱毛としては破格の低価格で人気を得ている。

 最近、湘南美容クリニックで脱毛の施術を受けた女性が明かす。

「今月、脱毛の施術を受けに行ったところ、受付で『脱毛のサービスが変更になりました』という案内を受けました」

 その時、女性が受け取ったのが〈脱毛を受けてくださるお客様へのお願い〉と題する用紙だ。

 続いて〈SBCでは、お客様へより良いサービスをご提供させて頂きたく、お客様から頂戴したお声や改善点を日々検討しております。その中で、脱毛において、お客様にとってより良い施術になる様、以下の3点の改善を検討させて頂き、9月15日より完全移行とさせていただきます〉と記されている。

 そこには、機械の照射スピードと施術者の照射技術を見直し照射時間を短縮することや、照射後のお冷やしは肌トラブルがあった場合のみ行うといった変更が告知されている。

 客の利便性を考えたサービス改善のように思えるが、問題はもうひとつの変更点である。

炎症止めのローション塗布を廃止

 3点目の〈脱毛後のローション塗布は、薬剤お渡しに変更になります〉である。〈脱毛後に炎症止めのローションを塗布させていただいておりましたが、ご帰宅後、お客様が必要な部位に、ご自身で塗布できる様なシステムに変更させて頂きたく、照射後のローション塗布を廃止し、帰宅後のケアとしてお薬をお渡しさせていただく事に変更いたします〉と説明されている。

 そもそも脱毛後になぜローション塗布が必要なのか、日本美容外科学会元理事長で日本医科大学名誉教授の百束比古氏に解説してもらった。

「医療脱毛は、レーザーを照射し毛根にある細胞を焼き切るので、施術後は照射部位が熱を持ちます。そのため、冷たいものを当てたり、抗炎症薬を塗るなどして、冷ます必要があるのです。冷まさないままでいると、炎症など肌トラブルを起こすことがあります」

 では、今回、湘南美容クリニックが行ったローション塗布の廃止と薬剤配布という変更についてはどうか考えるか。

「本来は、脱毛後にローションを塗ることとクーリング(冷やすこと)までクリニックで行うべきでしょう。それを省略するというのは、患者の回転をよくすることだけを考えた、手抜きとも言える変更だと思われても仕方がありません」(同)

 確かに、これまで湘南美容クリニックは〈照射後のお薬塗布(照射後毎回)〉が無料であることを売りの1つにし、HPにも記載していた。それが省略されたということは、サービスの低下と見ることも出来るだろう。

 取材後、〈照射後のお薬ご提供※初回は無料、2本目以降は200円(税込)〉という内容に変更された。

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