巨人はドラフトで“くじ運”が悪すぎる…単独指名に切り替えるべきか?

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将来性をとるか、即戦力をとるか

 そんな状況で巨人がまず狙うべきなのは菅野に代わるエース候補となるが、仮に、これまでに挙げた6人の誰かに入札したとしても、それほど多くの球団と指名が重なる可能性は低い。仮に抽選を外したとしても、達孝太(天理)、木村大成(北海)、椋木蓮(東北福祉大)、鈴木勇斗(創価大)、山下輝(法政大)、山田龍聖(JR東日本)など他にも有力な投手が残っているだろう。その点を考えても、最初の入札では、“抽選覚悟”で人気のある選手に向かうのが得策だ。

 そうなると、後は将来性をとるか、即戦力をとるかという判断になってくる。まだしばらくは菅野に頼れるという判断であれば、小園、風間、森木の高校生3人に向かうべきであり、来年も菅野が厳しいという判断であれば、社会人ナンバーワンの広畑が適任と言える。この4人の誰かを獲得することができれば、来年以降のチームに与える好影響を与えるだろう。

 巨人は過去に長野久義、沢村拓一、菅野、岡本を単独指名で獲得しているが、岡本以外の3人は巨人入りを強く希望し、事実上の逆指名のような形で入団している。だが、近年はこのように希望球団を押し通す選手はいないため、大物選手の獲得を狙うには、やはり抽選に勝つしかないのだ。現在のドラフト制度では、人気となる選手に入札して抽選で勝負するというやり方が正攻法である。球界の盟主の座を明け渡さないためにも、ドラフトでも堂々と正面から勝負するやり方にこだわってもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月3日掲載

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