「THE TIME,」初回視聴率は「あさチャン」より大幅アップ めでたさも中くらいのワケ

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残る課題は

 課題もある。1つは伝えるニュースが世間で話題になった話に偏り過ぎているところ。前日にツイッターで話題になったトップワード10を解説付きで伝える「ニュース&トレンド バズったワード デイリーランキング」のコーナーなどである。

 世間の関心事を伝え、掘り下げることも必要だろう。半面、折角2時間40分もあるのだから、番組側が視聴者に有益な情報を独自に探し、取材して伝えることも求められるはず。事実、「おはよう日本」は視聴者に有益な硬軟の独自情報を提供し続けている。

「THE TIME,」のマスコットは小鳥のシマエナガ。安住アナの故郷である北海道に生息し、「雪の妖精」とも呼ばれている。番組との関連性はさっぱり分からなかったが、おそらくスタッフが懸命に考えたのだろう。苦労がしのばれた。

 午前7時に「朝の歌」が流れ、安住アナも香川も踊ったのには面食らったが、これもシマエナガと同じくスタッフが考えた個性なのだから、良いと思う。ただし、好まない視聴者もいるのは間違いない。安住アナも香川もビシッとスーツを着こなしていたが、スーツでの踊りは万人受けしない。

 安住アナが「いってみよう!」とザ・ドリフターズのノリで掛け声を掛けた後、♪今日もいい日であるように いつでも笑ってやさしくね――という「朝の歌」が流れた。ゆるゆるで謎の歌だった。惜しかったのは、この歌の正体が説明されなかったところ。来週以降、解説が求められる。

 安住アナはアドリブが抜群にうまい。名人芸と言っていい。それがあらためて知らしめられた。話し方の間もテンポも良いから、胸の内をポツリポツリと言葉にするだけで当意即妙のアドリブになる。

「朝の歌」の前には「朝の歌はEテレ以外では見ることができません」と漏らし、笑わせてくれた。ほかのアナが同じことを言ってもおそらく笑えない。

 香川は「緊張している」と言いながら、全くそう見えないところが良かった。役者デビューから32年の百戦錬磨。次回8日からは1人での司会を余裕でこなすのではないか。

 香川は役者、歌舞伎役者の仕事で大忙しだが、司会も本格的に初めても良い気がする。知性とユーモアを兼ね備えたところが、故・児玉清さんや柳生博(84)を彷彿とさせた。

 初回は安住アナと香川を見たくてチャンネルを合わせた視聴者も相当数いただろう。いわゆるご祝儀的な視聴率が上積みされていたはず。

 土曜、日曜を挟んでの4日からの放送が本当の勝負だ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月3日掲載

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