Uber配達員が語る「コロナ禍のフードデリバリー」 2000人調査で判明「不快な経験」は18.6%
緊急事態宣言の発出やリモートワークの広がりにより、この1年半でフードデリバリーサービスを利用する人が急増している。そこで今回、コロナ禍におけるフードデリバリーサービスの利用状況などについてアンケートを行い、ウーバーイーツの現役配達員からサービスの実情について解説してもらった。アンケートは、9月3~4日、全国のYahoo! クラウドソーシングユーザーを対象に行い、2000人から有効回答を得た。
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【自転車にまたがる配達員の写真】ウーバーイーツの配達員は、服装に関する規定や、マナーの研修もないという。今回のアンケートで「不快な経験をした」と答えた人は、およそ2割にとどまった
今回、フードデリバリーサービスを利用したことがある2000人を対象に、よく利用するフードデリバリーサービスを複数回答で尋ねたところ「出前館」46.6%、次いで「ウーバーイーツ」36.5%と2つのサービス利用者が圧倒的に多かった。
アメリカで誕生した食品のオンライン注文・宅配サービスの「ウーバーイーツ」は、2016年9月に日本でのサービスを開始した。当初は東京の一部エリアに限定したサービスだったが、現在は北海道から沖縄まで全国に対象地域が広がっている。国内発のフードデリバリーサービスといえば、2000年10月にオープンした出前館が知られている。コロナ禍で順調にそのシェアを伸ばし、今年4月には加盟店舗数が7万店舗を突破した。ほかにも、「ウォルト」や「フードパンダ」、「メニュー」など新興サービスも続々と始まっている。
ライターと構成作家の仕事の傍ら、2018年1月からウーバーイーツの配達員として働いている渡辺雅史氏に、配達員側から見たフードデリバリーサービスの実情について教えてもらった。
「私が配達員を始めた頃は、ウーバーは東京の一部などでしか利用できないサービスでした。それから3年以上が経ち、今や利用できる地域や配達員の数も格段に増えました。多いときには週4日、朝8時から夜11時頃まで実働12時間くらい働き、1日あたり2万円弱を稼いでいます。実は、専業でがっつり稼いでいる人は、ウーバーと出前館、新興のサービスなど複数で配達員として登録するのが当たり前になっています。『ウーバーの配達員の質は悪いけど、出前館は良い』などと言う人がいますが、実際には両方やっている配達員が結構いるんですよ」
新型コロナの感染対策
フードデリバリーサービスは、日常にすっかりなじみつつあるが、サービスを利用する頻度には大きな差があるようだ。アンケートによると、「週に1度以上利用する」人は24.9%、一方で、「めったに利用しない」人は32.2%に上った。
フードデリバリーサービスの利点は様々あるようだ。
「外出しなければ食べられない、お店の味が自宅で楽しめるようになった」
「休日の過ごし方として、料理をしないとゆったりと時間を過ごすことができる」
「食事の準備、後始末が不要なので手間が省ける」
「体調が悪い日が続きご飯の支度ができなかった時、たくさん助けられた」
コロナ禍の外出自粛や飲食店の営業時間短縮の影響がプラスに働いているのは間違いなく、利用する理由について「自宅などで他人と接触せずに食事をすることで、新型コロナウイルスの感染対策になるため」と答えた人が27%、「時短営業中の飲食店が多い中、宅配サービスは遅くまで利用できるため」と答えた人が12.4%に上った。
また、新型コロナウイルス感染防止のための外出自粛や飲食店の時短営業が終わり、通常通り夜遅くまで飲食店を利用できるようになった後もフードデリバリーサービスを利用するつもりか尋ねると、「同じ頻度で利用し続ける」が最も多い36.3%であったものの、次いで「ほとんど利用しなくなるが、たまには利用する」が34.9%、「頻度は半分以下に減る」は18.8%、「使わなくなる」は10.1%だった。
「昨年3月頃、新型コロナの流行が本格化し、外食を自粛する動きが出てきた頃からは注文数が一気に増えたように感じます。その時期に、これまでデリバリーをやっていなかった高級な飲食店もウーバーに登録し始めたようで、高層ビルにあるレストランまで商品をピックアップしたり、3万円くらいする高級なステーキを宅配したこともありました。また、配達員と対面して商品を受け取るのではなく、玄関前などに商品を届ける『置き配』のサービスが始まり、私の実感としては、このサービスを選択するお客さんが8割ほどいるように思います」(渡辺氏)
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