「北村滋・前国家安全保障局長」が官僚トップの内閣官房副長官に浮上した理由
中村格警察庁長官の6つ上
北村滋・前国家安全保障局長(64)が内閣官房副長官に就任もと報じられた。内閣官房副長官とは官房長官を補佐する特別公務員職で、実質的に官僚のトップである。それが事実なら、7月に退官したばかりの元警察官僚が「岸田新首相」の懐刀となるわけだが、その通りに行かない雰囲気もあり……。人事の背景には何があるのか?
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社会部デスクによると、岸田氏と北村氏の付き合いは長い。
「岸田さんと北村さんとは開成高校の同窓で、岸田さんが総裁・首相になれば北村さんも然るべきポジションに就くだろうと噂されてきました」
北村氏は東大法学部を経て、1980年に警察庁に入庁。早くから警察庁長官候補と目されてきた。ちなみに現・長官の中村格氏は1986年入庁である。
「警察内では警備・公安畑のエースでした。警察庁の外事情報部外事課長などを経て、2006年に第一次安倍内閣で秘書官となりました。その後、兵庫県警本部長、警備局外事情報部長、総括審議官を歴任。そこから内閣情報調査室トップの内閣情報官に就任します」(同)
政権が民主党から自民党に変わっても内閣情報官として仕える日々は続いた。
「再登板した安倍首相から重用され、いわゆる首相動静にもほぼ毎日名前が乗るような蜜月ぶりでした。北村さんは収集した内外の懸案について報告・説明する立場なのですが、そのやり方がとても上手で安倍さんが気に入っていたと言われています。北村さん本人はいわゆるワーカホリックでショートスリーパー。今井尚哉首相秘書官と並び、歴代最長の政権を支えた立役者と言って間違いないでしょう」(同)
安倍前首相の推薦で国家安全保障局長に
安倍氏は自身の秘書官については元の省庁に戻った後も処遇するよう、陰に陽に働きかけるのが常だという。
「例えば財務省の田中一穂さんは入省同期で3人目の財務次官となりましたが、正直、安倍さんが後押ししたり下駄を履かせてあげたりしていなければそのポストにたどり着けなかったと言われています。また先日、警視総監に就任した大石吉彦さんも約6年にわたって安倍さんの秘書官を務めています。大石さんの場合は田中さんと違ってトップを担ってもおかしくないと言われていましたが、とはいえ同期にライバルが多い中、安倍さんに下駄を履かせてもらった部分は否定できないでしょう」(政治部デスク)
北村氏の場合は内閣情報官から警察庁に戻るタイミングがないわけではなかったが、適齢期を過ぎ、同期や後輩が警察庁長官・警視総監を務めるに至り、戻る場所がなくなってしまった。
「それでも安倍さんは外務省の根城だった国家安全保障局のトップのポジションを北村氏に与えています。もちろん北村氏も能吏(優秀な官僚)だと評価されており、その人事を情実だけで片付けることはできないでしょうが、それでも霞ヶ関内では、安倍さんのお友達人事の結果と揶揄する声は大きかったですね」(同)
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