ライター・SYOの「暗黒時代」を支えたアーティストとは 初対面で言われた「生涯忘れられない言葉」

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上京した年にデビューしたシンガーソングライター

「CINEMORE」「装苑」などのWEBや雑誌で、インタビューやコラムを執筆する人気ライターのSYOさん。さまざまなエンタメに精通する彼があこがれ続けてきた、ミュージシャンとその魅力とは?

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 2006TO2021。18歳で東京に出てきて、今年で15年になる。

 人生の約44%をここで暮らしていると考えると感慨深くもあるが、その間の思い出は正直言って記憶から(いやもういっそ歴史ごと)消し去りたいものばかり。「若気の至り」とドヤるには、微妙に新しいのが厄介だ。

 ただ、ひとつだけ誇れるものがある。それは、自分が上京した2006年に、あるミュージシャンがメジャーデビューを果たしたこと。その名は、長澤知之。山崎まさよしやスキマスイッチが所属する音楽事務所「オフィスオーガスタ」に籍を置くシンガーソングライターだ。

 3歳上の先輩でもある彼の音楽に多大な影響を受けている自分としては「長澤さんの音楽と出会うために上京したのだ」、そう捉えるとなんだか運命的な感じがして、悪くない。思い出したくもない黒歴史のごった煮みたいな大学生活も、「何者かになりたい」と暗中模索したフリーター時代も、意味のあるものに思えてくるのだ。その後就職して、転職して、ライターとして独立するまでの9年間も、彼の音楽は常にそばにあった。3食入り100円の焼きそばで一日をしのいでいた貧乏時代も、長澤さんのCD購入やライブ参戦は欠かさなかった。いまも新曲「宙ぶらの歌」を聴きながら、この文章を書いている。

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