間男との現場を目撃しても何も言えず、今度は自分が…浮気性の妻をもった主夫のモヤモヤ

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 男女問わず、罪悪感を持たずに不倫をする人はいる。開き直りとはまた少し違うのだが、そもそも「結婚と恋愛は別もの」と思っていたり、「惹かれてしまったのだから止められない」と感じていたりするようだ。

 そのあたりは個人の価値観なのだろうが、その価値観が違いすぎると、夫婦として暮らしていく上でつらくなるかもしれない。

 斉藤純也さん(44歳・仮名=以下同)が、友人主催の飲み会で同い年の聡子さんと知り合ったのは28歳のとき。

「何というか不思議な雰囲気の女性でした。うまく言葉にできないんですが、人として器の大きさが漂っているというか、ただ者ではないというか(笑)。話してみると話題が豊富でおもしろい。学生時代に演劇をやっていたそうです。僕はごく普通のチャラいサークルでテニスやスキーをしていたんですが、親友が演劇をやっていたのでいつも観にいっていました。芝居をやる人には興味があったので、聡子とも話が盛り上がりました」

 ごく自然に「また会おうね」「今度は芝居に行こう」とつきあいが始まった。週に1度は会っていたという。純也さんは中堅IT企業の会社員、聡子さんは飲食チェーンのエリアマネージャーとして多忙な日々を送っていた。

「なかなか会えないこともありましたが、時間をやりくりして会っていました。半年ほどたったとき、『もっと一緒にいたい。うちに引っ越してこない?』と聞いたんです。そうしたら彼女、『え、私たちってつきあってるの?』と怪訝な顔をした。その言葉にこっちが驚いちゃって。週に1度は会って性的な関係もあって、過去や未来を語り合っていたのに。僕は聡子のことを大事に思っているし大好きだし、一生一緒にいたいと思っている、今すぐ結婚してもいいと言ったら、彼女はケラケラ笑い出した。『先のことは約束できないでしょ、誰だって。私は今、この瞬間、純也のことは大好きだけど、そう簡単に結婚はできない』と。つまり彼女は、何かに縛られるのがイヤなんだろうなと感じました」

結婚、出産、そして専業主夫に

 聡子さんにとっていちばん大事なことは何なのかと、純也さんは聞いたことがある。彼女は間髪を入れずに「自由」と答えたそうだ。あなたはと問われて、彼は考え込んだ。

「自由より、愛かなと答えました。すると彼女は『愛ある自由っていいわね。いや、自由な愛はもっといいかも』って。彼女の思考回路、よくわからないけどなぜかおもしろいと思ってしまう自分がいました。彼女と接していると今までの自分と違う発想が出てくるような気がして」

 実際、仕事の相談を聡子さんにしたとき、彼女は今までの彼とまったく違う発想で、仕事を手助けしてくれたことがある。

 そうやってつきあいが続き、30歳のときふたりは婚姻届を出した。彼女の妊娠がきっかけだった。

「彼女は『子どもを産むのはいいけど、きっとうまく育てられない。私は外で働くのが好きだから』と言い出して。つきあっていてわかったんですが、僕は地道に家庭を作りたいほう、彼女は常に外で羽ばたいていたいタイプ。じゃあ、子どもが生まれたら僕が育てるからと」

 にぎやかなほうがいいわねと、彼女は年子で子どもを産んだ。第二子が生まれた直後、純也さんは会社を辞めて専業主夫となった。そのほうがどう考えても効率的だったからだ。彼女は純也さんと知り合ってから仕事への意欲が高まったようで、もっとバリバリ働きたいと常に言っていた。職場での信頼も厚く成績もよかったようで、結婚前から純也さんより収入が高かった。

「専業主夫になると言ったら、聡子はすごく喜んでくれました。向き不向きがあるわよねと。しかし、年子でふたり育てるって大変なこと。彼女も可能な限り早く帰るよう努力してくれましたが、ひとりが泣くともうひとりも泣き始める。昼間なんて僕はひとりで何度パニクったか……」

 専業主夫と本人はいうが、もともとIT関係の仕事をしていた純也さんは、フリーランスとして家で仕事もしていた。が、きちんと受注できるようになったのは下の子が2歳になり、保育園に預けることができるようになってからだ。

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