韓国紙が報じた 日本の「坊ちゃん候補の総裁選」と韓国の「苦労人出身の大統領候補」

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「日本の政治は窮屈なほど変化に鈍感」と

 今月25日、韓国・中央日報が「日本の自民党総裁選は『坊ちゃん』対決、韓国の大統領選は『無一物(スカンピン)派出身者』の激突」という記事を掲載。加えて、「韓国の政治には躍動性があり、日本の政治は窮屈なほど変化に鈍感」とも指摘した。どうやら今回は自民党総裁選をテーマに「日本より韓国が勝っている」という主張をしたいようなのだ。どういう理屈なのか。羽田真代氏がレポートする。

 記事では、総裁選に立候補している河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行のうち、河野、岸田の両氏を取り上げ、「彼らは名門政治一家の出身で、“坊ちゃん”=親の七光りの政治家」と定義。それに比べて韓国の大統領選の候補者たちはおおむね「無一物=苦労人たち」で、ここに両国の政治の特徴が端的に表れているという。

 たしかに韓国大統領選候補者は日本ほど2世が目立たないようだ。ただし、候補者のうち、文在寅大統領と対立した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長の父は延世大学の統計学教授で、日本の一橋大学への留学経験もあった。中央日報も、尹氏の場合は「他の候補者より状況は良かった」と述べている。

 それ以外の彼らが言うところの「無一物」派候補について言及した内容を紹介していこう。

貧困の中からはいだして法曹資格を

 最有力と目される李在明(イ・ジェミョン)京畿道(キョンギド)知事の父親は清掃員で、母親は町市場の便所の前で利用料を受け取ってトイレットペーパーを売っていたそうだ。本人は中学を中退して工場を転々と勤務していたというから、赤貧洗うがごとしといった状況が推察される。独学で大学に入学して司法試験に合格した。

 続いて洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員の父親は勉学とは無縁の家庭に育ち、母親は読み書きが不得手だったとされる。家庭は貧しく、両親は仕事を求めて頻繁に引越をした。その日の食事に事欠くこともあり、栄養不足がたたって国民学校(今の小学校にあたる)卒業時でも身長は124センチしかなかったという。それでも法曹資格を得て検事となり、テレビドラマのモデルにもなった。

 東亜日報の元東京特派員で、韓国政界屈指の知日派とされる李洛淵(イ・ナギョン)前民主党代表は貧しい農家の7人兄弟の長男として生まれた。兵役に就くまで、水を飲んで空腹を満たす日もあった。大学時代は下宿代を支払う余裕がなく、友人や先輩の下宿先を転々として過ごしていた。身長は170センチあったが、体重は50キロしかなかったという。

 韓国が経済成長を遂げたのは、いわゆる“漢江の奇跡”といわれる1960年代後半以降である。1964年生まれの李在明氏、1953年生まれの洪準杓氏、1952年生まれの李洛淵氏らが貧しかった理由に、そういったことはもちろん影響しているだろう。

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