人は耳からボケる? 「難聴」「耳鳴り」を治す骨格矯正法
「昔の顔に戻る」効果も
かなり前から、蝶形骨は私にとって重要な課題でしたが、この骨はアプローチしにくい箇所にあります。
きっかけは突発性難聴でした。この症状が出て悩んでいる人の骨格矯正をしたとき、施術が終わると難聴が改善されたことがあったのです。携帯電話でだれかと話しても、相手の声がほとんど聴こえなかったのが、普通に会話ができるまでに回復していました。
こうした事例を通して、聴力が衰える原因の少なからぬ部分が、蝶形骨がずれて耳が圧迫されることにある、とわかったのです。特に突発性難聴は、いまも医学的には原因がよくわからないとされています。しかし私は、頭蓋骨の左右差が原因で耳の内部に圧力がかかり、蝸牛がずれて耳の機能が低下するのが原因だ、と仮説を立てました。
それから試行錯誤を繰り返しながら、矯正のメソッドを完成させました。今回はそのなかでも、手軽にできるものを厳選して紹介しています。
実は、蝶形骨のずれが矯正されることで、ほかにもさまざまなメリットを享受できます。たとえば、頭痛の解消にも大きな効果が期待できます。
見た目の効果も大きいです。蝶形骨が前に押し出され、もとの状態にリセットされると、目の周囲の陥没が解消されて、若返って見えます。「昔の顔に戻った」というのは、うれしい副産物ではないでしょうか。身体機能の改善と若返りを、同時に享受できるのです。
また、すでに述べたように、蝶形骨は目にもつながっているので、視力が改善する可能性が高いです。
ところで、耳についての悩みには、難聴や突発性難聴と並んで、耳鳴りがあります。冒頭でも触れましたが、耳鳴りを感じている人は多く、40代以上では、悩まされている人のほうが多いといわれています。
耳鳴りも原因は側頭部の緊張にあると考えられます。こめかみを押すとキーンと音がしますが、それは、頭蓋骨の周りが緊張すると、音につながることの証左です。やはり蝶形骨のゆがみが、耳鳴りの原因のひとつで、したがって、この矯正によって、耳鳴りの症状も抑えることができます。
ただ、たとえば目は、視力が上がればすぐに効果を実感できますが、それにくらべると、耳は意外と効果を感じにくいものです。それに、突発性難聴はともかく、加齢に伴う難聴の場合、一度によくなるというものではありません。
しかし、ここに紹介した自己矯正を習慣化し、地道に実践すれば、徐々に回復に向かうと思います。即効性はない代わりに、確実によくなっていきます。
もっとも、加齢による耳の機能低下が進んでいる場合は、個人差はありますが、矯正の効果が多少薄いことも考えられます。そういうときには、医師や介護事業者に相談したり、補聴器を活用したりすることも考えながら、地道に取り組んでください。
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