関西スーパーを買収提案のOKストア 強引な手法にOK株主でさえ「創業理念と違う」
「オーケーらしくないのではないか」
焦点は10月29日の臨時株主総会。ここで関西スーパーの株主がどのような判断をくだすかに注目が集まっている。株主にとって判断が難しいのは、H2O案とオーケー案を単純比較できないことだ。
オーケー案は1株2250円で全株を買い取り、関西スーパーを完全子会社化(非上場化)する。それに対してH2O案はややこしい。H2Oの100%子会社であるイズミヤ、阪急オアシスの株式と関西スーパーの株式を交換する手法で、関西スーパーの上場は維持される。
H2Oとの経営統合によって業績を上向かせ、配当が増えることに期待するのか、それとも、そこには期待せず2250円でオーケーに買い取ってもらうか――。関西スーパーの株主はどちらかの案を選択することになる。
H2O案は複雑でわかりにくいため、経済メディアの論調は、「関西スーパーは株主に対してもっと丁寧にわかりやすく説明する必要がある」という方向へ流れている。だが、オーケーの自社株主への説明も十分とは言えない。
「オーケーらしくないのではないか」
という声が株主から上がっているのだ。
非上場企業を貫いているが
オーケーの株主の一人は言う。
「オーケーの株を買ったのは『客や取引先、従業員とともに、ゆっくり着実に成長していく』という経営理念に共鳴したからです。(関西スーパーへの買収提案は)コロナ後に向けた布石なのだと思いますが、創業理念からは随分かけ離れた行動ではないでしょうか」
オーケーが自社ホームページに載せている「オーケーの歩み」には、オーケーという会社の柱となるような考え方が示されている。
「かねてよりオーケーの株式は、お客様と、お取引先様と、社員が保有し、関係者みんなで良い会社に育てて、その成果をみんなで分かち合う、株価が経常利益と連動するような仕組みにすれば、経常利益が増え続ける限り株価が下がることはない、『こんな形が理想だなぁ』と考えておりました」
これはオーケー創業者で現会長の飯田勧氏が記したもの。飯田氏の兄弟には居酒屋チェーン「天狗」を運営するテンアライド創業者の飯田保氏、警備会社セコム創業者の飯田亮氏らがおり、言わずと知れた実業家兄弟の一人だ。
オーケーでは過去、店舗のサービスカウンターで客向けに種類株を発行し、客にも株を買ってもらう(出資してもらう)ことで会社を共に育てていくという形を追及してきた。上場すれば株式市場で一気に資金調達が叶うが、あえてそういう方法は採らず、現在も上場しない非上場企業を貫いている。
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