関西スーパーを買収提案のOKストア 強引な手法にOK株主でさえ「創業理念と違う」
「反対の票を投じる予定」
スーパーマーケット業界に激震が走っている。関東圏で「OKストア」を展開するオーケー株式会社が関西の老舗「関西スーパー」を運営する関西スーパーマーケットに対して買収提案をすると発表したからだ。
直接の発端は8月31日、関西スーパーが発表したリリースだった。オーケーが6月に提案していた関西スーパーとの資本業務提携案について、特別委員会を設置して検討をしたところ、今後の事業の成長性に鑑みてオーケーではなく、阪急阪神百貨店を営むエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)の傘下に入る決定をくだしたという内容だ。H2Oとの経営統合案について、10月29日に開く臨時株主総会に諮るとした。
これにオーケーが反発した。関西スーパーのリリースからわずか3日後の9月3日、オーケーがぶち上げたのは関西スーパーの買収案だった。6月に提案していた資本業務提携について、「(特別委員会が間に入ることで)関西スーパー様との実質的な協議の場は設けられませんでした」「関西スーパー様の株主利益の最大化の観点から公正に比較検討頂けたのか、懸念しております」と不快感を示した上で、10月29日の臨時株主総会では、「反対の票を投じる予定です」と宣言した。
H2Oが10%強の出資
臨時株主総会でH2O案が出席株主の3分の2以上の賛成を得られなかった場合、オーケーは「関西スーパーの株主はオーケーに買収されることを選択した」と見なし、TOB(株式公開買い付け)を開始する。買取価格は1株2250円で、リリース前日9月2日終値(1374円)に6割のプレミアムを付けた、上場来最高値のプライシングだ。
そもそもオーケーが関西スーパーの臨時株主総会に出席できるのは、同社株7.69%強を保有する第3位の大株主だからだ。オーケー、関西スーパー、H2Oの微妙な三角関係をひも解くには、少し過去に遡る必要がある。
オーケーが関西スーパーに初めて出資したのは2016年のこと。7%分の出資をしたオーケーは、当然のごとく関西スーパーとの資本業務提携を望んだ。ところが関西スーパーはオーケーの提案に対し、いっこうに首を縦には振らなかった。それどころか同じ関西を地盤とするH2Oに10%強の出資をしてもらい、第1位の筆頭株主になってもらう。
関西に乗り込もうとするオーケーの試みを、関西スーパーとH2Oがスクラムを組んで阻止するような構図だ。
それから5年間、3社がじっと顔を見合わせるような状態が続いたが、そこへ一石を投じたのが今年6月のオーケーによる資本業務提携の提案だった。コロナ後の事業環境を見据えた業界再編への布石だったが、その後の経緯は上述した通りである。
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