「伊藤詩織さん」と「山口敬之元TBSワシントン支局長」が東京高裁で直接向き合った中身

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声を詰まらせながら

 ジャーナリストの伊藤詩織さん(32)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(55)に対し、1100万円の損害賠償を求めている訴訟。その控訴審の第1回口頭弁論が9月21日、東京高裁で開かれた。法廷では両者が直接対峙し、それぞれから意見陳述があった。

 山口氏にレイプされたと主張する伊藤さんは時折、涙に声を詰まらせながらも、以下のように冒頭意見を述べた。

「事件が起きてから、6年が過ぎました。この裁判を始めてからは約4年経ちます。2015年、事件当時の私は、必死にバイトをして貯めたお金で海外の学校に通い、ずっと夢を見ていたジャーナリストの仕事がスタートし、毎日ワクワクしながら仕事に出かけていた25歳でした。当時はその後の20代を裁判に費やすとは想像もしていませんでした。事件と向き合う中で、自分の身に起こったことを、司法や社会がどう判断するのかを目の当たりにしてきました。精神的に痛めつけられ、攻撃されることの繰り返しでした。しかし“真実と向き合った”という事実は私の人生でとても大切なことだったのだと思います」

「逮捕状握り潰し」については?

 伊藤さんはさらにこう続けた。

「この4年間、裁判で訴えたかったことは、そう多くはありません。まず、私の身に起きた出来事に対して、司法の適切な判断が下されることでした。そしてもうひとつ、判決を通じて私が経験したような性被害、および被害者バッシングという2次被害が、決して許されないものだというメッセージが広がることで、被害者が泣き寝入りしなくてよい新たな社会になることです」

 彼女は、週刊新潮も報じた中村格・新警察庁長官が警視庁刑事部長時代に引き起こした山口氏の「逮捕状握り潰し」についても、以下のように訴えた。

「私は警察に届け出た段階で、刑事司法で裁いてもらうことを望んでいましたが、逮捕は直前に取り消しとなり、それはかないませんでした。刑事司法の不透明な対応に左右され、確かに存在していた性被害がなかったことにされてしまうことに危機感を抱き、自分の顔を出し、そして名前を出して発信することを決意しました」

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