三つどもえの戦いに残った巨人、今後の優勝争いを予測する【柴田勲のセブンアイズ】

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打線のつながりだったらヤクルト

 首位の阪神も波に乗れない。躍進・阪神の象徴だった佐藤輝明は打撃不振でファームで調整中だ。いまは打線全体が振るわない。

 巨人は阪神との直接対決を6試合残している。すべて東京ドームだ。「地の利」うんぬんを強調する向きがあるが、そんなのは関係ない。狭いドームで空中戦になったとしても巨人の投手の出来が悪かったら阪神打線の餌食(えじき)になる。それに直接対決で3連勝するなんてとても考えられない。

 打線のつながりで見れば一番いいのはヤクルトだ。1番・塩見泰隆から青木宣親、山田哲人、主砲の村上宗隆、ホセ・オスナ、ドミンゴ・サンタナも悪くない。捕手の中村悠平もチームを引っ張っている。打撃30傑の10位に入っている。村上も史上最年少での通算100号本塁打を達成してプレッシャーから解放されたはずだ。今後リラックスして試合に臨めるようになるだろう。

 得点力はリーグトップの493点だ。

 投手力を見ても小川泰弘、高橋奎二らの先発陣に加え2年目・奥川恭伸を中10日で起用してうまく育てている。後ろの方も充実している。

 ヤクルトは2年連続最下位に沈んでいたがいまは一戦一戦戦うたびにチーム全体で力をつけているように思える。残り試合数も一番多い。

21日からの10試合が勝負

 とにかく3チームとも21日からの10試合が勝負になる。ここで勢いに乗ったチームが優勝へ近づくと思う。

 巨人は優勝経験が豊富で、苦しい時でもその経験が生きる、優る、こうも言われる。そりゃ少しはあるかもしれないが、そんなのは勢いの前には屈する。

 とにかく巨人は首位とのゲーム差を2.5から3をキープすることだ。中日、DeNA、広島の3球団はここにきてチーム力が上がってきている。阪神、ヤクルトにも言えることだが、この3チームにやられたら苦しくなる。

 巨人は21日から広島と3連戦(マツダ)。どうやら中田翔が1軍に戻ってきそうだ。しかもスタメンが有力だ。確かにファームでは好成績を残してきたが、2軍の投手の緩い球だから対応できたのかもしれない。それより精神的にリフレッシュできた効果があると思いたい。守護神チアゴ・ビエイラも戦列に戻る。24日からは東京ドームで阪神3連戦だ。落とせない試合が続く。1戦1戦を大事に戦ってほしい。

※記録は20日現在

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月21日掲載

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