朝の「情報番組」戦争 視聴率トップ「羽鳥モーニングショー」の知られたくない弱点
コメンテーターを改革するも
この日に限らない。翌14日の同番組のF1層視聴率は0.4%、15日も0.5%……。これでは世帯と個人全体が高視聴率でも安泰とは言い難い。若い視聴者が得られないとCMの価格は上がらないからだ。
「視聴者の年齢層が高いのは以前からのことで、それを背景に番組幹部は硬いイメージが強かったジャーナリストの青木理氏や女優の高木美保さんらを3月いっぱいでコメンテーター陣から退いてもらった。代わりに4月からはハーバード大とジュリアード音楽院をどちらも首席で卒業した廣津留すみれさん、若い人から尊敬されている社会活動家の石山アンジュさんらを新コメンテーターに招きました。けれど今のところ目に見える効果はない。冗談交じりに『連日出ている玉川(徹)さんが若い女性にウケないんじゃないか』と言うスタッフもいます」(テレビ朝日報道局情報番組センタースタッフ)
確かに差が付くとしたら、コメンテーター陣か番組の取材力・構成力だろう。MC4人は個性こそ違うものの、いずれも当代屈指の売れっ子で、優劣が付けがたいからだ。
「スッキリ」の加藤浩次(52)は「人生最高レストラン」(TBS)などMCのレギュラーが4本、羽鳥慎一(50)は「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ)など同3本、「ラヴィット!」の麒麟・川島明(42)は「ウワサのお客さま」(フジ)など同5本、「めざまし8」の谷原章介(49)は「うたコン」(NHK)など同5本ある。古くから午前帯の情報番組のMCはその時代の実力者が務めてきたが、今は特にそうなのだ。
新規参入の川島と谷原も慣れてきたのが分かる。持ち味が発揮されるようになってきた。川島はサブカルなどの情報を提供する時、自分の知識をさりげなく付け加えている。嫌みがないのが川島の特長の1つである。
一方、谷原は3男3女の父親の顔が出てきた。9月14日、福島県会津若松市の猪苗代湖で昨年9月に小学3年生の男子をひき逃げして死亡させた容疑者(44)が逮捕されたことを伝えた際、10秒ほど言葉を失った。子煩悩で知られることから、感極まったのだろう。怒りや悲しみが自然と表れるようになった。
このひき逃げ事件で「めざまし8」は男児の母親を独占取材した。フジは事件に強い。天達武史氏(46)のお天気コーナーも視聴率が伸びる。「モーニングショー」の看板は言うまでもなく新型コロナ禍情報だ。
「スッキリ」はエンタメ情報に力が入っている。ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」が誕生する過程などを追った。「ラヴィット!」は時事ネタを追わず、生活に密着した情報の提供に特化している。
これらのカラーのうち、どれを好むかは地域差があるようだ。例えば関西の人は事件が肌に合うのか、このところ「めざまし8」が関西で視聴率を伸ばし、「モーニングショー」の脅威になっている。
8月16日に関西テレビで放送された「めざまし8」の世帯視聴率は14.4%。ドラマの大ヒット作並みだったことから、在京キー局のスタッフも驚き、話題になった。ただし、この日は「モーニングショー」(朝日放送)がお休み。代わりに甲子園から高校野球を中継していた。
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