事件現場清掃人は見た 80代より60~70代男性の孤独死が多いのはなぜなのか

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タバコのヤニ

 部屋には、警備会社の制服があった。

「警備員は、仕事を休んで連絡が取れなくなっても、会社の人が心配して自宅を訪ねたりすることはあまりありません。それで、発見が遅れたようです。男性は、家賃は月末に、近くに住む大家さんに直接手渡していたそうで、これまで支払いが滞ったことは1度もなかったといいます。ところが、月末になっても家賃を持ってこなかったので、不審に思った大家さんが部屋を訪ねたところ、亡くなっているのを発見したのです」

 部屋の真ん中には万年床があり、その上で男性は亡くなっていたという。

「部屋は、ゴミが足の踏み場がないほど散らかり、埃がたまっていました。蒲団のまわりには箪笥や卓袱台、テレビが置いてありました。ビールや焼酎の空き缶などが無かったので、お酒は飲んでなかったようです。しかし、かなりのヘビースモーカーだったようで、壁や窓、天井に至るまで、タバコのヤニでべっとりと茶色に染まっていました」

 キッチンを見ると、料理をした形跡はなかった。

「ガスコンロも、ほとんど使われた形跡がありませんでした。コンビニ弁当を買ったり、外食をしていたのでしょう。不摂生な生活を送っていたことがうかがえます」

 80歳以上の老人が孤独死するケースが60~70代に比べて少ないのは、具合が悪くなると病院に入院するケースが多いからだという。

「お年寄りの場合は、普段から周囲が気にかけていることが多く、姿を見かけなくなると『どうしたんだろう』と心配されます。しかし60代くらいだと、しばらく姿が見えなくても『きっとどこかへ出掛けたんだろう』くらいにしか思ってもらえないのです」

デイリー新潮取材班

2021年9月21日掲載

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