「河野政権」誕生なら官房長官と幹事長は誰になる?新しくも混沌とした未来を完全予測

国内 政治

  • ブックマーク

官房長官には側近を起用か

 より難しいのが官房長官人事だ。首相との一体感が求められるだけでなく、スポークスマンとしての発信力と官僚組織をグリップする力が問われる。周辺によると河野氏は自らが考える政策の推進のために首相官邸の布陣には特に拘りが強く、「自らに近い議員」から登用したい考えだという。

 そうすると浮上するのは小泉環境相(当選4回・40歳)や平将明議員(当選5回・54歳)だ。2人とも河野氏が右腕と頼む議員で、官房長官になればフレッシュな政権の顔として注目されるのは間違いない。しかし、官僚をコントロールして行政を仕切る能力には疑問符がつくし、果たしてこの混迷の時代を乗り切っていけるだろうか。

 そして「近い」と言えば菅首相がいる。官房長官としての安定感は抜群だが、辞任したばかりの首相を政権の要に起用するのはさすがに非常識だ。また側近議員ではないが、総裁選で選対本部長に就任した伊藤達也元金融担当相(当選8回・60歳)の収まりは悪くない。だがこれまで河野氏と政治行動を共にしてきたわけではないし、異端児をどこまで支え切れるのか予測がつかない。

 二階派幹部は冷ややかにこう語る。「河野は安定したチームが作れないからどうせ短命だよ。衆院選をのり切ってもらって、その後のことはまた考えればいい。」河野新首相は最初の人事から、極めて難しい判断が迫られることになる。

異端児解禁 政策の振り子は左に触れるが

 立候補会見で「自民党は保守政党だ」と語り、党内保守層への配慮を見せた河野氏。だが脱原発、女系天皇、選択的夫婦別姓、同性婚、移民受け入れなどに前向きで、外交・安全保障政策はそれほどではないにしても、自民党では最もリベラルな部類に入る政治家と言っていい。

 周辺が「河野さんは今も派閥会長の麻生さんと緊密に相談していたり、サラリーマン的な動きもできる」と語るなど、組織の論理を無視して持論を貫くことはないとの声もある。だが首相になるということは社長になるわけで、従来の主張が滲み出るのは時間の問題とみられる。側近議員も「党内融和は大事だが、改革派の旗は降ろせない」と強調する。これによって自民党政治の政策の振り子は左に大きく振れることになる。

 総選挙までは勝利のために党の結束は保たれるだろう。だがその後も河野政権が続いたとして、冬に訪れるとみられるコロナ感染再拡大への対応や菅首相退陣で3万円台まで上昇した株価や景気の動向、また原発問題などを巡る国会での激しい論戦で、政権を取り巻く状況は徐々に厳しくなることが予想される。そして内閣支持率が低下してくれば、党内保守派の反発が強まる可能性がある。

 安倍氏は周辺に「河野は危険だ。首相になったら突っ走って党が壊れかねない」と話している。自民党のベテラン職員も「党分裂の火種が生まれないか心配だ。来年の参院選前に変なことにならないといいが」と語るなど、警戒感は根強い。

次ページ:発信革命 TwitterなどSNSを駆使 しかし…

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。