慰安婦同様に反日のシンボルへ 原発処理水放出に難癖をつける議員と「親日のなすりつけ合い」

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「国民の不安を拭うことができない」

 韓国では大統領選が近づいて、各候補者やその支援者の間で“親日派”のレッテルのなすりつけ合いが起こっているという。福島原発の処理水放出に絡んで無理難題を言い出す与党議員も登場。慰安婦同様、処理水が反日のシンボルに浮上しつつある。羽田真代氏のレポート。

 今月13日、韓国の与党「共に民主党」の鄭必模(チョン・ピルモ)議員は、2019年から21年上半期までに日本から入港した活魚車(コンテナ)の台数が3781台あるのに対し、このうち放射能検査を受けたのは72台(1.9%)しかなかったことを問題視する発言を行った。

 鄭氏は「1.9%しか調査していないのであれば、日本の海水放射能汚染に対する国民の不安を拭うことができない」「実効性のある検査方式へと改善しなければならない」と主張した。

 原子力安全委員会が採取した海水試料を分析するには3週間の時間を要し、検査対象はセシウム(Cs-137)濃度のみで、四半期ごとに10台あまりと決められている。彼はこれらの範囲を拡大せよと言うわけだ。余計にかかるコストに見合う実利が得られるのだろうか。

 実は、鄭氏は日本政府が決定した福島原発の処理水放出に反対する集会に参加した71人の国会議員のうちの1人だ。ちなみに彼らは処理水を汚染水と呼ぶ。日本からの活魚車全てに放射能検査を行えと言わんばかりのスタンスは常軌を逸したもので、その理屈で考えるなら、“日本海”で採れた韓国産水産物など、検査すべき対象が広がることはあっても狭まることはあるまい。

「先祖が親日派だから大統領に相応しくない」

 他方、蔚山(ウルサン)市保健環境研究院も「2021年上半期学校給食・食材安全性検査」なるものを実施している。

 こちらでは、農産物残留農薬、水産物放射能検査、豆加工品・遺伝子組み換え食品の確認検査などが対象とされたのだが、水産物の件数が農産物や豆加工品の対象件数の3倍に設定されている。これは、処理水の海洋放出決定を受け、水産物の検査を強化したからだ。

 検査に余念がないのは結構なことだが、日本から輸出される時点で基準値はクリアしているのだから、検査は無駄に終わることだろう。そもそも、放出予定の処理水は厳しい管理の下で汚染物質を取り除いたものであり、そのタイミングは「2年後を目途に」なのだから、検査の強化自体、から騒ぎと言われても仕方ないだろう。

 一連の動きの背景には、2022年3月の大統領選に向けてのアピールという面がある。各候補者や支援者の間は“親日”というレッテルを敵方になすりつけ合う行為がエスカレートしている状況だ。

 具体的には「先祖が親日派だから大統領に相応しくない」「えんび服は日本の政治家の制服だから日本の政治家になった方がいい」等々。その応酬は醜い限りだが、韓国の議員が親日を謳うのは死活問題だから反日を貫く他ないということなのだろう。今回の鄭議員の例はその延長線上にある。「私は日本に厳しいですよ」というアピールだ。

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