事件現場清掃人は見た 孤独死した人の部屋に漂う死臭で死因を推測できる

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 孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。長年、この仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、孤独死した人の死臭について聞いた。

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 事件現場では、必ずと言ってよいほど死臭が漂っているという。その臭いに男女の違いはない。

「ただし、年齢による違いはあります。若い人に比べると、老人は体についている脂肪と水分の量が少ないために、死臭が弱いのです」

 と語るのは、高江洲氏。

「高齢になって痩せて骨と皮だけのようにして亡くなった人の場合は、腹が割れることもなく、ミイラのようになるので、さらに死臭は弱くなります」

油が腐ったような臭い

 一方、若い人の場合はどうか。

「最近はジャンクフードを食べる人が増えていることや、脂肪分の多いものをたくさん食べるようになったことで、やせ型の人が少なくなりました。亡くなった後に、強烈な死臭を放つようになっています」

 高江洲氏は、事件現場に行くと、亡くなった人の死因がわかることがあるという。

「60代の男性が1DKのアパートで孤独死しました。死後数日経って発見されたそうです。現場に行って部屋を見た時、思わず『あっ』と声をあげてしまいました。亡くなって日が経っていないのに、真っ黒な汚れが床に広がっていたのです。死臭も独特なもので、脂が腐ったような臭いでした。すぐに内蔵疾患で亡くなったのだとわかりました。もしかすると、アルコール依存症だったのかもしれません。臓器不全で亡くなると、血液が凝固せずに、床に広がりますからね」

 糖尿病患者も、似たような状況になるという。

「糖尿病の場合は、腹が割れて血液などが流れ出してもなかなか凝固せず、床一面に広がってしまうものです。また、内臓系のがんで亡くなった人の場合も、死臭がやはり脂の腐ったような臭いがするものです」

 高江洲氏は、死臭以外でも死因がわかることがあるそうだ。

「1Kのアパートで、50代前半の男性が孤独死しました。死後1週間経って発見されたそうです。現場はアパートの1階でした。部屋の壁際にはベッド、そして卓袱台の上には、血に染まったティッシュが山のようにありました」

 高江洲氏は、ティッシュを見て室内を注意深く観察した。

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