戸籍の読み仮名法制化で「キラキラネーム」議論 女の子人気1位「陽葵」は何と読む?

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音の響きを重視

 男の子の名づけには別のトレンドがあるという。

「男の子の名前で、元の漢字とは別の読み方をさせるものは5%程度に留まります。一方で、『アサヒ』『ソラ』『ハル』『アオイ』『ヒナタ』『ミズキ』など、10年ほど前に女の子の名前として流行った名前を男の子につけることが非常に多くなっています。また、男女の区別の無い名前が増えた反動なのか、『〇太郎』や『〇勝』など、男らしい名前もじわじわと人気が高まってきました」(同)

 男女に共通する特徴としては、「音の響きを重視すること」が挙げられるという。

「読んだ時には綺麗に聞こえるが、漢字を見てもすんなり読めない名前が非常に多いです。凝った漢字もいいですが、私は名前には読みやすさがとても重要だと考えています。そもそも名前とは、社会生活において他人から呼ばれるために必要なものです。名前は読み間違えたら失礼にあたるものでもありますから、相手に余計なストレスを与えないという意味でも簡単に読める名前を付けるということは重要だと思います」(同)

読みやすさを重視した名づけを

 命名相談を受ける牧野氏だが、読みやすさを重視するという考えに共感されないことも多いという。

「反対に、簡単に読まれる名前は嫌だと考えている親御さんが多いです。初見では読めず、よく知っている人だけが読める名前の方が安心という考えは、社会に対する警戒心から来ているのかもしれません。『キラキラネーム』は就職や進学で不利に働く可能性があるということは、昔から言われています。それ以外の場面でも、例えば救急搬送された時に本人に読み方の確認が取れない場合は、便宜的にそれらしい読み方をすることがあるそうですが、そのことで混乱を招き、患者を取り違えることにも繋がりかねないという話を聞きました。名前に個性を出したいという思いと、変わった名前を付けた時のリスクのどちらが大きいかを考えるべきではないでしょうか」(同)

 では、なぜ今これほど読みづらい名前が多いのだろうか。

「ネットには様々な名づけサイトがあるので、名前に関する大量の情報を目にすることになります。本来の漢字の読み方から外れた名前をたくさん見るうちに、自分は我が子にどんな名前を付けたいかという根本的なところからどんどん離れていき、凝った名前にしてしまうのではないでしょうか。戸籍法で制限されなくとも、読みやすさを意識した名づけをすることが、子どもに要らぬ負担を掛けずに済むことに繋がると思います」(同)

デイリー新潮取材班

2021年9月16日掲載

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