北朝鮮建国パレードに登場の金正恩は影武者の影武者説 長老と親密アピールの狙い
消えた影武者
【1】肥料工場の完工式という、ありふれた行事に総書記が出席するのが、そもそも異例。
【2】総書記が久しぶりに姿を見せたにもかかわらず、出席者が非常に少ない。顔ぶれは大幹部に限られ、影武者の秘密を熟知している者ばかりだった。
【3】金総書記は「パテック・フィリップ」の腕時計を愛用していると言われているが、写真には映っていなかった。
【4】テレビで動画も流したにもかかわらず、肉声は放送されなかった。声紋分析される危険を考慮した可能性がある。
今回のパレードでも肉声が報道されなかったのは、冒頭で触れた通りだ。ただし、「肥料工場での影武者」は肥満体。首脳会談などで登場した“本人”のイメージに近い外見だった。
「パレードに登場した金総書記は痩せていたため『本人に似ていない』とされ、更に『これまで登場していた肥満体の影武者とも違う』と言われています。これは素直に解釈すべきだと思います。何らかの理由で、これまで影武者を務めていた肥満体の男性が、公の場所に出られなくなったのでしょう」(同・ウォッチャー)
急遽、ピンチヒッターとして新しい影武者が登場した。だが、これまでの“本人”や“影武者”とは外見が違っている──。
本当の謎とは?
「外見が違っているため、違和感を覚える人が続出したのではないでしょうか」とウォッチャーは言う。
それにしても似ていない影武者というのも奇妙な話だ。北朝鮮で影武者はどうやって選ばれ、どう運用されているのだろうか。
「影武者は赤の他人から選ぶわけではありません。建国の父とされる金日成[キム・イルソン](1912~1994)の隠し子の子、つまり“隠し孫”にあたる男性や、息子の金正日[キム・ジョンイル](1941~2011)の隠し子の中から金正恩に似た者を複数選び、彼らを影武者として起用するのです。一族の血を引く金ファミリーの一員ですから、彼らは普段でも北朝鮮の中ではエリート層に位置しています」(同・ウォッチャー)
黒澤明(1910~1998)の映画「影武者」(東宝・1980年公開)でも描かれたが、戦国武将の武田信玄(1521~1573)の影武者は、弟の信廉(不明~1582)が務めたことで知られる。
確かに身内に影武者を依頼するのが最も安心できるだろう。赤の他人に比べれば、裏切る可能性や、機密漏洩のリスクなどが大幅に減少する。
「一部のメディアは『軍事パレード』と報じました。厳密に言えば、これは間違いです。行われたのは、各職場における予備役の行進でした」(同・ウォッチャー)
[2/3ページ]