苦しい巨人の起爆剤、新外国人「ハイネマン」に過度な期待は禁物【柴田勲のセブンアイズ】

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丸も外してはいけない

 ハイネマンはアベレージヒッターとの触れ込みで走力・守備力も兼ね備えているのが売りだ。まだ2試合だが、打撃は器用そうだし、確かに肩だって強いようだ。でも、いまは日本の投手の球の速さ、コントロールの良さに驚いているのではないか。まあ、それなりの活躍はできると思うが過大な期待は禁物だ。とにかく日本の野球をなめずにプレーしてほしい。

 阪神追撃の主役は打撃陣では丸、坂本勇人、そして岡本和真の3人だ。この3人が機能してこそ得点源となる。その他のメンバーでフォローする。ことに松原聖弥と吉川尚輝はいまや外せない選手となってきたが自分たちの役割がなんであるかを普段から考えてプレーすることが必要だ。

 投手陣では守護神のチアゴ・ビエイラが9日に出場選手登録を抹消されて、19日以降でなければ再登録できない。ここは中川皓太だろう。ルビー・デラロサはストライクとボールがハッキリしており、以前のような出来ではない。抑えはちょっと厳しい。

 丸も外してはいけない選手だと思う。確かに本調子ではないものの、打線にいることで相手にプレッシャーを掛けられる選手だ。以前も記したが、自軍選手の調子を見極めるのも大事だが相手がどう捉えるかを考えることも必要だ。外すなら丸ではなくウィーラーの方だと思うが。

「菅野らしさ」が見られない

 さて菅野だ。今回の白星で本格復活なるかといきたいところだが、まだわからない。1日のヤクルト戦(京セラドーム)では8回無失点で131日ぶりの勝利を飾ったかと思えば、7日のDeNA戦(横浜)では5回途中7失点で降板した。正直なところ、次回の登板がどう転ぶか。予断を許さない。

 12日の登板、「菅野らしさ」があまり見られなかった。押し込むという投球ではなかった。やはりかわす投球だった。いや、しのいだと言った方がいいか。好調時の菅野は外角低めの真っすぐ、カーブでカウントを稼ぎ、間にスライダーを使って打者を打ち取ってきた。だが12日はカット、スライダー、フォークを多投していた。投手の基本である外角低めの真っすぐが少なかった。鈴木誠也に浴びた一発は内寄りだった。

 広島打線に対し、初球ストライク先行で、また打者たちもボール球に手を出していたことで助かった面があった。 復調の兆しだったのか、それとも…。次回の登板でどんな投球を見せるのか。大いに注目したい。

 14日から東京ドームでDeNA2連戦、1日空いてやはりドームでヤクルト2連戦、そして19日は甲子園で阪神戦だ。DeNAには後半戦4敗2分だ。前半戦は貯金を稼いできたが、いまは逆にやられている。注目のカードも続く。じっくりと見ていきたい。

※メジャー通算成績は3年間で68試合に出場し打率.172、5本塁打、3Aでは通算166試合の出場で打率.304。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年9月14日掲載

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