衛星放送の受信料は撤廃……高市早苗議員が語っていたNHKが絶対抵抗する改革の中身
スクランブル化
――改革を本当にやる気があるのかと言うことですね。しかしながら、現在、ネット上では受信料の値下げよりもスクランブル化を求める人が少なくありません。これについてはどう思われますか。
高市:もう公共放送としてのNHKに価値を見出してないという方が増えてきたということは、残念ですね。スクランブル化を行うには、放送法の大改正をしなければいけません。放送法には、NHKの設立目的として〈公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるように豊かで、且つ良い放送番組による国内基幹放送を行う〉とあります。どんな地域でも、NHKは視聴することができるようになっています。主に災害の時に役に立つんですけどね。
――災害の際には、スクランブルを解除すればいいという声も少なくない。
高市:そうすると、災害の時にだけ、NHKを観る人はただ乗りになりますよね。他の人から取った受信料で作られているわけですから。最近は災害も多いわけですし、対価は誰が払うのか、公平性の問題が出てくるので、なかなか難しいと思います。公共放送としてのNHKが本当に必要だという国民的コンセンサスを作るには、私はコンテンツを相当絞り込んで安い受信料にしていくことだと思います。
――どのように絞り込みますか。
高市:ジャンル別に見直しをすると、前田会長は仰っていました。
――バラエティ番組を減らすとか?
高市:いやいや、私は個別の番組についてはどうこう言えませんが、本音を言えば、公共放送ですから、ニュース、気象情報、災害報道、民放ではやりっこない国会中継や総理の記者会見など、視聴率を狙わないものに絞り込むのはひとつの方法だと思います。そう言うと、大河ドラマはどうするのかとか、紅白歌合戦はどうするのかとか、いろいろなご意見が出てくるでしょう。個人的には科学技術系番組は良質で面白いと思っています。基本的に、公共放送が民放を圧迫するような番組を制作したり事業を行ったりする必要はないと思っています。NHKはスポンサーを集める必要がありません。スポンサーは私たち、受信料を払う国民ですから、NHKが視聴率を気にしていることがおかしいと思います。
――民放がスポンサー探しに必死な中、安定した潤沢な受信料で視聴率を狙った番組を作られてはたまらない。そうしたNHK改革の道半ばで、高市代議士は総務省を離れることに。退任前に「やり残したことはNHK改革」と言ったと報じられた。
高市: 8月の段階で中期経営計画案に受信料引き下げが入っていなかったので、私は怒っていたんです。NHKの幹部職員が、のらりくらりと時間稼ぎをしながら前田会長がいなくなるまで待つなんていうことをやりかねないという危惧がありましたからね。前田会長と総務省のドリームチームがいる間に、放送法の抜本改正もやりたいと思って、法案づくりを指示していました。でも、後任の武田(良太)大臣が頑張って下さっているので、安心しています。
――では、今は特に不満は?
高市:けしからんのは、〈NHK経営計画における受信料及び収支の見通しの算定根拠等(案)〉という紙に、〈衛星契約割合を引き続き向上させ、公共放送・公共メディアの運営に必要な受信料収入を確保する〉とありました。つまり、安い地上契約でなく、高いほうの衛星契約で受信料を集めろというわけ。衛星付加受信料の撤廃どころか、それを増やせと書いてある。ひどいでしょ。私がもし総務委員会の委員だったら、NHKの役員に質問してギリギリやっちゃうわね。
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