「BTS」“ファンサイト禁止令”中国の文化統制で「乃木坂46」「ジャニーズ」は大丈夫か?
ある日突然、人気芸能人が出演するドラマの動画が根こそぎ削除され消えてしまう。日本では考えられないようなことが起きているのが中国だ。いまターゲットとなっているのは、韓流タレントや稼ぎ過ぎた女優。突如吹き荒れる“文化統制”に日本の芸能界も戦々恐々としているという。
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「共同富裕」
8月下旬、映画「レッドクリフ」でお馴染みの中国の人気女優・趙薇(ヴィッキー・チャオ)が出演するドラマ作品が、中国の動画配信サービスから一斉に削除された。理由は「稼ぎ過ぎ」だという。中国在住ジャーナリストが解説する。
「今年7月、中国共産党創建100周年を迎えた際、習近平国家主席は『小康社会の目標を達成した』と演説しました。小康社会とは鄧小平時代から打ち出した標語で、訳すと『ややゆとりのある社会』。みんながほどほどにいいねと思える社会は実現したと宣言したわけです」
習氏が次の目標として掲げたのが「共同富裕」という標語だった。
「端的に言えば、中間層をもっと増やしてみんなが平等の社会を実現しましょうという共産主義的な考え。裏を返せば“カネ持ちを減らそう”です。そこでターゲットにされたのが趙薇だった。このところ中国では、動画配信サービスが大流行し、ドラマや映画の制作費が高騰。彼女は1クールで1億元(約17億円)稼ぐと言われていました」
ターゲットにされたBTS
一罰百戒的に目立つターゲットを狙い撃ちするのが中国のやり方だ。趙薇と同じタイミングで槍玉に挙げられたのは、日本でも人気の韓国人歌手グループ「BTS」。問題視されたのは中国で流行しているSNS「微博(ウェイボー)」上にあるファンサイトだった。
「ここ数年、10代、20代に絶大な人気で、ファンサイトが乱立していた。その中のあるサイトが、“メンバーの誕生日だからみんなでお金を集めてプレゼントを送ろう”と呼びかけると、あっという間に4000万円ものカネを集った。こうした行き過ぎた“推し活”を共産党は問題視。他の韓流アイドルも含め、20くらいあったアカウントを30日~60日の使用禁止処分としました」
今回の動きに、日本の芸能界も神経を尖らせている。近年、中国進出を目論む芸能人が増えているからだ。
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