イスラエルは4回目?ブースター接種を控えればワクチン先進国のメリットにもなる理由
副反応は「同等」又は「軽い」
世界で新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種(ブースター接種)の動きが広がっている。世界で最も早くワクチン接種が進んだイスラエルでは8月1日から2回目の接種から5ヵ月が経った60歳以上の高齢者を対象にブースター接種が始まり、8月29日からは対象年齢が12歳以上に引き下げられた。
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米国も9月20日から、2回目の接種から8カ月経った18歳以上を対象にブースター接種を開始することを決定している。
日本でも医療従事者に対しては早ければ10月から、高齢者に対しては来年1月からブースター接種が始まる予定だ。
各国でブースター接種の動きが活発化しているのは、2回目の接種から6~8ヵ月後にワクチンの効果が弱まることがわかってきているからだ。
ブースター接種が進むイスラエルでは、これによる感染予防効果が86パーセントに高まったとの報告があるが、気になるのは副反応だ。医療機関が実施した調査結果によれば、ブースター接種の副反応について、88%が2回目の接種後に比べ「同等」又は「軽い」と回答した。命に別状はないにしても副反応に苦しめられた人は、それが再び起こることを考えると気が重くなるだろう。
早くも「4回目の接種の準備が必要」
さらに悩ましいのはブースター接種を受けたとしても、その有効期間は半年に過ぎないことだ。イスラエルでは早くも「4回目の接種の準備が必要」との声が上がっている。
いわゆるワクチン先進国のこのような動きについて、世界保健機関(WHO)は猛反対している。WHOのテドロス事務局長は9月8日、発展途上国に行き渡るワクチンが不足するとして、新型コロナワクチンを豊富に備蓄する富裕国に対し、年内のブースター接種を控えるよう呼びかけた。欧米諸国では国民の5割がワクチン接種を完了しているが、アフリカではいまだ3%未満だ。WHOなどが主導するワクチン共同購入の国際的枠組み「COVAX」のワクチン配布も当初の予定通り進んでいない。
筆者はこの問題について、「ブースター接種を控えて未接種の人々にワクチンを提供することがワクチン先進国の人々にとってもメリットが大きい」と考えている。
最初に指摘したいのは、ワクチンの有効性に関する議論が抗体の産生量に偏りすぎていることだ。人間の免疫システムには自然免疫(樹状細胞やマクロファージによる貪食)と獲得免疫があり、獲得免疫はさらに液性免疫(B細胞が産生する抗体)と細胞性免疫(病原体に感染した細胞を攻撃するキラーT細胞)に分けられる。ワクチン接種が始まって1年が経とうとしているが、定量化が容易な抗体の産生に研究が集中しているのが現状だ。
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