菅首相の置き土産 ついに長官に上り詰めた「官邸の守護神」 “逮捕状を握り潰した”警察庁の中村格氏
“続けさせてほしい”と土下座せんばかりに
菅義偉首相の総裁選への電撃不出馬表明が、霞が関の官僚人事に少なからぬ影響を与えている。中でも首相の大のお気に入りで懐刀と言われた警察庁の中村格次長の長官への昇格が内定した。かつて「逮捕状を握り潰した男」としても名が知れ渡った人物である。
社会部デスクによると、
「9月10日に内示された警察庁の最高幹部人事で、松本光弘長官が辞職して中村格次長が昇格することになりました。14日の閣議で決定される流れです」
中村次長の昇格は既定路線だったとはいえ、
「今年末くらいではと言われていたので少し早まった印象ですね。“自分が在任中に中村長官を実現させたい”と菅さんが考えていたとしても不思議ではないですね」
菅首相の強い思い入れが見え隠れするが、どういうことなのか?
中村氏は1986年に警察庁入庁。警察庁刑事部捜査2課長などを経て、民主党政権時代の2009年に官房長官秘書官に。首相と共にコロコロと代わる官房長官に仕える中で迎えた2012年、自民党が政権を奪取した際に目の前に現れたのが菅氏だった。
「政権が交代すれば秘書官は交代するのが基本で、中村さんもそうなりそうだったのですが、菅さんに“続けさせてほしい”と土下座せんばかりに訴えて、菅さんもそこまで言うならと応じたということです」
それからの中村氏の仕事ぶりと、菅氏の寵愛ぶりは霞が関ではよく知られている。
「逮捕状の握り潰し」案件とは
デスクが続ける。
「中村さんは持ち前の情報収集力と分析力で菅さんの信頼を勝ち取り、菅さんはなかなか手放そうとしませんでした。結局、警察に戻ったのは2015年3月、警視庁刑事部長としてでした。官房長官秘書官になる前は、長官レースで同期の露木康浩氏の後塵を拝していると見るムキは少なくなかったのですが、このタイミングですでに逆転し、その後も露木氏の一歩先のポストを歩んでいきました。菅さんとは毎日のようにやりとりしていて、たとえば菅さんと財界人との会合をセットするなど、“菅さんの個人秘書みたいだね”と言う人もいるくらいです」
その刑事部長時代に、「逮捕状の握り潰し」案件は起こった。
民放キー局の海外支局長にレイプされたと主張する女性が被害届を提出。捜査の結果、准強姦容疑で逮捕状が出て、支局長が成田空港に帰国したタイミングで身柄を確保する流れが固まっていた。しかし、その捜査中止を命じたのが、他ならぬ中村氏だった。
これとは逆に、当時の安倍晋三首相の秘書の子息が関与したゲームセンターでのケンカに捜査1課を投入して加害者をスピード逮捕させたのも、中村氏だった。
「安倍さんの秘書の子息は被害者でしたが、子供のケンカに捜査1課の、しかもエース級のベテラン捜査員を投入して加害者を逮捕までするというのは驚きました。安倍さんへの忖度捜査と言われても仕方ないかもしれません」(同)
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