「安倍前首相」の懐刀の暗躍に不信感を拭えなかった「菅首相」 雌雄を決する総裁選

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派閥ボスが自派閥候補を応援しない?

 河野氏は麻生派所属。盟友の安倍氏と足並みをそろえるのが当然の麻生氏としては出馬を翻意させたかったのだが、説得工作は不調に終わったようだ。麻生氏は岸田氏を支持すると見られ、派閥のボスが自派閥候補を応援しないというのはあまり聞いたことがない。異常事態だ。

「河野さんも出ると言ったら退かないタイプですからね。国民に人気があるとされ、実際そのような調査結果が出ていますが、それがいつまで持つかわからない、わからないのなら人気があるうちに勝負したいという考えのようです」

 一方で、永田町や霞が関界隈で河野氏を評価する声はほとんど聞こえてこないという。

「とりあえず追い風で楽な選挙しか経験していない当選3回以下の衆院議員にとっては、人気のある河野さんを顔にして選挙に臨むのがベターなんでしょう。ただ正直、なんで人気があるのかわからないんですよね(笑)。瞬間湯沸かし器というか、頭に血がのぼりやすいと言いますし。一方で岸田さんのことを悪く言う人は皆無。“とにかく良い人”というような評価です」

 総裁選の趨勢は? 

「河野さんとしては、国会議員票はあまり見込めないという想定のもと、メディアなどを通じて国民に直接訴えかける方法で党員のハートをぐっと掴み、決選投票に持ち込まずに1回目で勝負を決められるかがポイントでしょう」

 安倍氏が仕掛けたと言うといささか語弊があるが、「二階斬り」や安倍氏の懐刀による岸田陣営への関与などから今回の政局は動き出した。菅氏はそれに一旦は敗れたかに見えたが、やられっぱなしになるかはまだわからない。最終的にその勝敗は総裁選でつくということになるのだろう。

デイリー新潮取材班

2021年9月12日掲載

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