新型コロナ、次なる“悪者”にされる子どもたち 熱を出すことも許されず(中川淳一郎)
すごい時代になったものです。先日、ニュース番組に出ていた医師が、コロナ陽性の保育園の児童が無症状ではなく、熱が出るようになったと問題視。そして家に帰って家族にうつしてしまうと発言したのです。8月下旬、夏休みの延長を求める意見も出てきて、実際に延長する自治体もあります。
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まだ子供ってコロナで一人も死んでいないんですよ。「子供から親や祖父母にうつしたらどうするのだ」というロジックなわけですが、ついに「悪者」が子供に移ったか、と暗澹たる気持ちになりました。
子供は熱を出すことさえ許されないのか。30代の頃、飲み会をすると「子供が熱を出したから今日は行けない」とドタキャンされることが頻繁にありました。最初はドタキャンの方便かと思っていたのですが、子供を持つ人間からは「本当に子供ってよく熱出すんですよ」と言われたものです。
子供は感染してさまざまな免疫を高めていくわけですが、もう今の専門家が言うことは「熱を出してはいけないので、保育園・幼稚園・学校には行ってはいけない」というものになっています。
初期の頃、ネットでは「クルーズ船に乗るアクティブな高齢者が感染源だ」という批判はあったものの、その後メディアや専門家は高齢者批判を封印。この1年7カ月、「コロナと世代」を振り返るとこうした流れになっていました。
「防ごう重症化 守ろう高齢者」「夜の街の若者が感染源になっている」「重篤化する高齢者にまずはワクチンを打とう」「50代の重症者が増加する『50代問題』が発生」「40~50代もワクチン接種を」
そして現在の「子供が熱が出るようになったのが問題」に続く流れです。当初のネット上の論調を除けば、一貫して悪者にされたのは非高齢者といえましょう。文部科学省は、教室の机の間隔を2メートル空ける行動基準を示しましたが、石川テレビの報道では、2メートル空けると机が入りきらないという実態が明かされました。
35人学級であれば、2メートル空けるとなればもう屋上か体育館か校庭しか机を置ける場所はありません。
給食の時間も「黙食」を要求される。学校の中ではこうした対策が取られているものの、佐賀県唐津市の私が住むエリアでは、ひとたび学校を出ると子供たちはマスクを外して集団下校で大騒ぎ。多分、賢い子供たちは「建前」というものを理解していると思います。
とにかく役人も政治家も「こういった通達出して子供たちを守ろうと我々はお前らに伝えてたよな。陽性者出たお前らの学校は我々の通達守っていたか?」と言いたいのでしょう。
8月27日、政府は緊急事態宣言の対象県を8道県増やし、合計21都道府県になりましたが、期間は9月12日まで。これまた「仕事している感」を出しているだけだと思います。結局第4回緊急事態宣言下での陽性者は全国的に増加したわけで、効果がないことは明らかなのですから。
陽性者数を減らすのであれば、別の手立てを考えなくてはいけないのに、馬鹿の一つ覚えのように同じ宣言を出し、誰かを悪者にする。次なる悪者は「産まれてくる子供たち」になるかもしれません。