22安打12得点でまさかの敗北を喫した横浜…ファンが驚愕した“歴史的珍試合”
シーズン終盤に入り、V争いも白熱してきたプロ野球だが、時にはセオリーどおりにいかないのも野球の難しさだ。打線が大爆発しても勝つとは限らないし、超貧打にもかかわらず、まさかのビッグイニングをつくってしまう試合もある。長年数多くの試合を観戦してきたファンでも「こんなのありか……」と目を白黒させるような本当にあった珍試合を振り返ってみたい。
「わからん。オレにはわからん」
打線が22安打と大爆発しながら、まさかの敗戦に泣いたのが、2010年の横浜である。4月3日のヤクルト戦、1回表に5連打で3点を先制した横浜だったが、その裏、先発・藤江均が7点を献上し、逆転されてしまう。
だが、横浜も2回に2点、3回に3点とノーガードの打ち合いに持ち込み、7回に下園辰哉、藤田一也の連続タイムリーで11対10と逆転に成功する。
そして、12対11で迎えた9回裏、守護神・山口俊は、先頭の相川亮二に四球を許したものの、後続2者を打ち取り、2死三塁まで漕ぎつけた。ところが、代打・川本良平をカウント1-2と追い込み、勝利まであと1球となった直後、155キロ直球が真ん中高めに入り、左越えに逆転サヨナラ2ランを浴びる悪夢のような結末……。
9回まで22安打を記録しながら敗れたのは、史上初の珍事とあって、尾花高夫監督も「わからん。オレにはわからん」と天を仰いだが、翌4日のヤクルト戦は、わずか3安打で、ヤクルトに2対1で雪辱。22安打で勝てないのに、一夜明けると、3安打で勝ってしまうのも野球の不思議さだ。
オールシングルヒットで勝利
奇しくも、横浜の3安打勝利の日と同じ10年4月4日は、パ・リーグの試合でも珍事が起きた。ロッテが19安打を放ち、オリックスに10対4と大勝したが、19安打のすべてが“単打”だったのだ。
1回、井口資仁、サブローの安打で2点を先制したロッテは、3回にも5安打を集中して5点を追加。7対2の6回にも、井口の通算1000安打となる、ショートへの内野安打など3連打と犠飛で8点目。さらに7回にも4連打でダメ押しの2点を加え、計19本オールシングルヒットで勝利した。
地道にコツコツ得点を重ねた“ピストル打線”に、西村徳文監督も「これだけ点を取れば、普通は長打がある。何とかつなぐんだという気持ちの表れでしょう」と満足そう。この日、9番・今江敏晃とともに3安打を記録した8番・里崎智也も「僕とゴリ(今江)に打たせたらダメですよ。全員つながっちゃいますよ」とニンマリ。
この時点でレギュラー9人中3割以上が6人と打線好調のロッテは、最終的にシーズン3位ながら、CSと日本シリーズを勝ち抜き、史上初の3位からの“下剋上V”を達成した。
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