サウナ、ジム、デパ地下…エアロゾル感染が危険な場所は? 子どもは2学期学校に行かせるべきではない?

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 出口が見えないコロナ禍の暗闇に一条の光は射している。事実、2カ月ほどで状況は変わる、という見方は多い。それだけに猛威を振るうデルタ株に対し、いまが踏ん張りどころ。ここに漏れなく紹介するサバイバル術を活用し、光に照らされるまで耐え忍びたい。

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 昨春、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めたとき、1年半を経ても医療の逼迫が叫ばれ続けるなどと、だれが予想したか。21都道府県に拡大された緊急事態宣言も、期限である9月12日に解除される見込みは、ほとんどない。

 一方、人出が減らないなど、緊急事態宣言の効果もかなり鈍っている。それも当然だろう。出口を見せずに暗闇に閉じこめるなど、土台無理な話である。

 だが、8月25日の記者会見で菅義偉総理は「明かりははっきりと見えはじめている」と明言した。もっとも、発信力の弱さが指摘される総理にしては強いこの言葉は、「楽観的すぎる」などと猛批判を浴びたが、批判するなら、「明かり」が見えない根拠も示すべきだろう。「明かり」がどこに見えて、いつ我々を照らしてくれそうなのか、検証してみる価値はある。

 現に、明かりを見失ったままでは、間接的な被害が拡大しかねない。以前から感染対策として経済活動に制限を加えすぎると、しわ寄せは避けられず、最悪の場合、自殺者が急増すると指摘されてきた。

 感染拡大の影響で自殺者がどれだけ増え、今後どの程度増加しうるのか、東京大学大学院の仲田泰祐准教授らのチームが公表したシミュレーションを見ておきたい。仲田氏が説明する。

「日本は失業率と自殺者数が強い相関関係にあるので、コロナ流行以前に予想された2020年、21年の失業率を、民間のシンクタンク20社ほどから集め、そこから仮想の自殺者数を算出し、実際の数字と比較しました。実際の数字が上回った分が、コロナのために増加した自殺者数と考えられます」

 7月20日に公表され、その後わかった6月の自殺者数を踏まえ、8月10日に更新された数字とは――。

「20年3月~21年6月の増加数は3681人。内訳は、失業率で説明できる増加数が1320人で、それでは説明できないのが2361人でした。たとえば今年6月は、コロナがなければ1400人ほどの自殺者が想定されたところに、実際は1750人ほどでした。同様に、現時点での最新の失業率予測から求めた自殺者数と、コロナ前の失業率予測から求めた自殺者数をくらべると、21年7月~24年末までに、さらに2千人近く増加するだろう、という結果が出ています」

 しかも、これは失業率で説明できる数字。すでに見たように、それだけでは説明できない数字も多い。

「もっと増える可能性も十分にあり、すでに示した21年6月までの数字の比率を適用すると、約4500人増える計算です。一方、コロナ収束後の経済回復が非常に力強ければ、失業率も低くなり、それに伴って自殺者数も減るでしょう。現実には、21年7月~24年末までは、4500人と2千人の間ぐらいの数字になると思っています」

11月には「ただの風邪」?

 命を守ろうと過剰に反応すると、かえって守られなくなる命があることは、心にとめておくほうがいい。

「7月に発せられた緊急事態宣言下でわかったことは、社会経済の現場は非常に疲弊し、限界に近いということです。このコロナ禍は公衆衛生の危機であると同時に、社会経済の危機。その二つのバランスを保っていく必要があります」(同)

 しかし、「明かり」が見えなければ、そのバランスをとる余裕も生まれない。だからこそ「明かり」を見極める必要がある。

 菅総理は、「明かり」は国民の大半がワクチンを打ち終えれば見える、と言いたいようだが、ワクチンの効果はいかほどか。浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師が説く。

「1回打って2週間経過するだけでも重症化予防効果があり、私のもとにも、90歳で1回目を打った後に感染した患者さんがいて、鼻風邪ですみました。その横で、50歳前後のワクチン未接種の人が酸素吸入器をつけている。第4波と第5波とでは、リスクがある世代が完全に逆転しました」

 現在、65歳以上でワクチンを1回は打った人が89・5%、2回打ち終えた人も87・2%になる。全人口で見ても、1回は打った人が55・6%、2回終えた人が44・6%にまで達した(8月30日現在)。10月には国民の7割、11月には8割程度が接種を終えそうだ。

「その段階で、感染者数との兼ね合いにもなりますが、規制の緩和は検討されるでしょう。ワクチン接種者限定のイベント、全員が接種していれば会食可能、といったことが考えられます」

 と、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授。実際、政府も、社会経済活動の回復に向け、ワクチンの接種証明などの活用を検討している。矢野医師が言う。

「肝心なのは感染しても重症化しないこと。ワクチンを打ちたい人が全員打ち終えれば、重症化する人は極端に減り、11月ごろに新型コロナは“ただの風邪”に近くなるのではないか。未接種の人が重症化することはあるので、完全に元に戻るには2年くらいかかるでしょうが、鼻風邪程度であれば医療機関を圧迫しません。そうなれば、だんだんと元の社会に戻っていくのではないかと思います」

 あと2カ月ほどで山を一つ越えられると思えば、耐えがたきにも耐えられるかもしれない。とはいえ、頼みのワクチンについても、不安を煽るような報道が多いので、まずはその実態を確認しておきたい。

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