「長崎IR」内定のオーストリア国営カジノは「疑獄事件」の渦中 日本法人代表は「小林幸子の夫」

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長崎県は「クリーンな運営実績」と評価

 そもそも、カジノ・オーストリアに3500億円規模のIRを設置・運営する能力があるか疑問視する声もあるという。

「彼らが手がけてきたカジノは、テーブル数が多くて200くらいの小規模カジノばかりです。IRを手がけた実績はゼロです」(IRに詳しい専門家)

 だが、長崎県の評価はまったく逆だ。県が8月30日に公表した資料では、同社を「国有企業ならではの厳しい審査を受けたクリーンな運営実績」「厳格な規制を設けているEU各国でカジノ事業を実施してきた実績」と手放しで持ち上げている。いったい県はこれらの懸念についてどう捉えているのか。以下は長崎県IR課とのやりとりである。

――オーストリアで起きている疑獄事件にカジノ・オーストリアが関与していることは、把握しているのか。

「承知しています」

――このようなカジノ業者は、廉潔性に問題があるのではないか。

「それについてはコメントしません。カジノ・オーストリアは、決められた募集要項に則って、廉潔性調査を経て、第三者委の審査によって公正に選出されました。ニキグループやオシドリグループが、選考過程が不透明などと主張していることも承知していますが、県は両社に公募から辞退するよう迫った事実はありません。県は両社と守秘義務契約を結んでいたはずであり、それに違反するかたちでマスコミの取材に答えています」

 2社との言い分は食い違うものの、カジノ・オーストリアの廉潔性が適正であるかについては言及を避けた。カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパンは、「県から二次審査前に廉潔性について指摘されたことは一切ない」と答える。確かに、なぜ県は2社にだけ廉潔性を厳しく問うたのか、疑問は残るのだ。

10年前の事務所騒動

 ここからは日本法人「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」の話に入っていきたい。この会社も、役員が就任した経緯などに不可解な点がある。

 同社はカジノ・オーストリアの日本進出を目的として17年に設立された。代表取締役社長の林明男氏は、11年に演歌歌手・小林幸子と結婚した際に、芸能マスコミで盛んに取り上げられた過去を持つ。

「結婚直後に、小林が、33年間、二人三脚で歩んできた個人事務所の女性社長の解任に踏み切ったため、夫妻は世間から猛バッシングを受けました。解任騒動は、芸能界を知らない林氏が、事務所の経費問題などに口を挟んだことがきっかけだったと言われています。結局、小林が和解金を支払うことで決着がつきましたが、騒動が原因で小林の紅白連続出場は途絶え、しばらく芸能界から干されてしまいました」

 プライベートの話はさておき、なぜ林氏はオーストリアのカジノと手を組んだのだろうか。林氏は02年に再生医療研究の運営・管理を行う「TESホールディングス」を設立。同社は、17年に東京慈恵会医科大の研究グループと協力し、IPS細胞を使って、尿をつくる機能を持つ腎臓の再生に成功させるなどの実績を残してきた企業として知られる。だが、

「林さんがIR絡みの仕事を経験しているという話は、まったく聞いたことがありません。再生医療とIRはまったく結びつかない業種です」(前出・専門家)

役員に名を連ねる立憲民主党議員の公設秘書

 役員には、もう一人気になる人物が名を連ねている。立憲民主党の衆議院議員・牧義夫氏の秘書であるY氏だ。

「Y氏は民主党時代、石井一・元国土庁長官や鹿野道彦・元農水相の秘書を勤めてきた人物。3年くらい前から、牧事務所の公設第一秘書として勤務しています」(永田町関係者)

 特別職国家公務員である公設秘書の兼職は原則禁止されている。例外として、議員の許可を得た場合のみ認められているが、ここで注目すべきは、彼の“雇い主”である牧議員の立場である。

「牧氏は民主党時代、カジノ議連メンバーに名を連ねていましたが、それは10年以上前の話。いま立憲民主党は、昨年に『カジノ廃止法案』を国会に提出するなど、IR反対の立場です」(永田町関係者)

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