「玉木雄一郎」を悩ませた実弟の「キングスコイン」大暴落 証券市場では罰せられる損失補填も

ビジネス

  • ブックマーク

詐欺仮想通貨

 2017年ごろから雨後の筍のように登場した仮想通貨の一つに、「キングスコイン」がある。その発行に国民民主党の玉木雄一郎代表の実弟二人がかかわっていたことで、玉木代表も頭を抱える事態となっていた。

 ***

 キングスコインは、「仮想通貨を現実世界の決済インフラとして具現化すること」を謳い文句に、「香港スカイキングインターナショナルインベストメント」(スカイ社)がプロジェクトを開始。40億枚のコインが発行され、4000人前後が購入した。

 18年秋にはニュージーランドの取引所「ビットノア」への上場にこぎ着けたが、上場後に大暴落し、大損した被害者が続出。キングスコインは「詐欺仮想通貨」呼ばわりされ、トラブルが相次いだ。

 トラブルの要因は、スカイ社の経営陣が玉木代表の身内だったこと。次男の秀樹氏がCEO(最高経営責任者)、三男の栄三郎氏はCTO(最高技術責任者)であった。

「兄に迷惑がかかる」

 350万円を投じた会社員は、

「“玉木雄一郎という有力政治家の弟がかかわるプロジェクトだから心配ない”などと誘われ、18年3月に1枚2円で100万円分を買い付けました」

 その後も購入を続けたが、いざ上場してみれば初値は2.2円。その後もズルズルと下がり続け、20年1月現在で0.03円前後という有り様だ。会社員は弁護士に相談したものの、詐欺罪の立証は難しいと言われ、泣き寝入りするほかなかった。

 秀樹氏から直に1枚2円で3000万円分を購入した投資家の場合、秀樹氏と「プロジェクトが失敗したら売り値で買い戻す」との約束を交わしていた。大暴落して塩漬けとなったコインを秀樹氏に返却すると、購入代金の一部は戻ってきたという。

 証券市場では罰せられる損失補填が公然と行われ、しかも、購入者次第でそれが受けられるか否かの差も生じていた。次男の秀樹氏は、「スカイ社の代表からは降りました。“兄に会わせろ”などと求めてくる投資家らが出てきたため、兄に迷惑がかかると考えたからです」と言うが――。

週刊新潮」2020年1月30日号「MONEY」欄の有料版では、玉木代表の名前が使われた実例を詳報する。

週刊新潮 2020年1月30日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。