韓国が大連の「日本がテーマの商業施設」に噛みつき 「植民地でショッピング?」「日系企業を誘致すれば放射能までやってくる」の声
「日帝侵略の被害を受けていた地だ」と
8月21日、中国・大連で「日本風情街」という日本をテーマにした総合商業施設がオープンした。通りにはパナソニックによる家電量販店や日本の化粧品ブランドやラーメン店など、29もの店舗が軒を連ねている。これに噛み付いたのが、他ならぬ韓国メディアだった。営業を一時停止すると報じられたが……。羽田真代氏によるレポート。
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【写真】不買運運動の煽りを受けて閑古鳥となった「ジャパンタウン」の跡地
日本風情街は60万平方メートルと広大な広さを誇る。そこに京都をイメージした日本風の街を再現した商業施設で、一種のテーマパークである。
2020年の調査によれば大連にある日系企業は1550社で、世界有数のレベルだ。これら日系企業は中国市場への安定的商品供給に向け、日本風情街を十二分に活用するだろう。今後、入店数も増加させる計画だというから、日系企業による大連進出はますます加速するはずだ。
中国には既に広東省や江蘇省などにも日本街が存在しており(いずれも昨年9月オープン)、共に若者や家族連れで賑わっているという。着物や浴衣、日本の女子高生風の制服を着用できるサービスなどが提供されていることもあり、SNSで“映え”投稿を狙う若者から支持を得ていることはもちろん、コロナ禍で日本を訪れることのできない中国人らもしばしばやってきては、日本の街並みや日本食を楽しんでいるそうだ。
このたびオープンした中国最大級の大連・日本風情街に話を戻すと、これを問題視し、批判を展開したのが韓国メディアだった。
本来、他国に新しい商業施設が出来て賑わっているというだけのニュースのはずが、日本が関係しているとなると彼らは見逃さない。韓国の連合ニュースでは、こんな風にネガティブかつ刺激的に伝えられたのだ。
韓国メディアの誤報
「オープン直後は観光客らが押し寄せたが、このような雰囲気はわずか数日で反転した。日帝の侵略を受けた大連の歴史を考慮していないと批判の声が高まっている」
「大連に近い旅順では、1894年の日清戦争で少なくとも2万人もの中国人が日本軍によって虐殺された。1945年まで日帝侵略の被害を受けていた地だ」
こういう文脈で伝えれば、一部の韓国民を刺激され、苛立つのは必然だろう。
報道を受けて寄せられた韓国人からのコメントには、「愚かだ。恥を知れ」「歴史を忘れた民族に未来はない」「日本の植民地でショッピング?」「中国の奴らが孔子に長きにわたり学んできた結果がこれか」などといったものが並んでいた。
それどころか、「日帝が侵略した土地に京都の姿をかたどって設計された日本街が誕生した」とも報じられたことで、“日本が中国の街に、植民地当時の風景を再現する建物を造った”と誤解する向きまで出てきている。
仮に植民地当時の風景を再現したところで、当事者が気にしないのなら問題はないのだが、そもそも歴史の知識が間違っている。大連は日露戦争後にポーツマス条約によって日本の租借地である関東州の一部となったが、それまではロシアが租借していた。そのため、当時撮影された写真を見てもロシア風の建物が非常に多く、今回新しく建てられた日本風情街の街並みとはあまりにもかけ離れている。日本風情街は日本租借当時の街並みを再現したものではないことは、資料を見れば明らかだ。
もちろん中国内でも「日本に侵略された歴史を忘れたのか」「日本に媚びるな」「先人たちの骨の上にこのような街をオープンさせて正気か」と、日本風情街のオープンを快く思わない人々が存在することは事実である。しかし、韓国メディアのほうがより激しい論調だという印象だ。
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