事件現場清掃人は見た 父親が自殺し、痛々しい表情で私を見つめた子どもたちの行く末

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事故物件を施設

 高江洲氏は特殊清掃の現場で、こういう子どもたちを何度も見たという。

「子どもたちの表情は、悲しみや怒りをあらわにしているというより、痛々しく感じられました。子どもたちはその後、どうなってしまうのか。母親が働いている間は、施設に預けられるのだろうか。路頭に迷う子どももいるかもしれません。彼らのその後の人生が心配でなりません」

 高江洲氏は、先の『明日、ママがいない』を見た時、特殊清掃の仕事でずっと感じていた葛藤が消えたという。

「実を言うと、私は現在、孤児院、今でいう児童養護施設をつくろうと計画しています。すでに社団法人を設立し、施設の名は、ドラマにちなんで『コガモの家』にする予定です。事件現場清掃人が児童養護施設を経営すると聞くと、突拍子もない話のように思われるかもしれません。でも、父親が自殺したりして、母親から見放されそうな子どもがいるのであれば、何とか助けてあげたい。特殊清掃で得たお金を有効に活用することもできるわけですしね」

 引き取り手のない遺品や買い手のつかない事故物件を、施設の運営に役立てたいという。

「そこで子どもたちが暮らし、勉強して、成長していく。私は元々料理人でしたから、食事を提供することもできます。そしてやがては、この取り組みがモデルとなって、クラウドファンディングなどで出資者を募って、全国各地に施設が作られたらと考えています」

デイリー新潮取材班

2021年9月3日掲載

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