解散と新人事の目玉は? 「テレビに映る度に内閣支持率を下げ続けた」二階氏が野に放たれて
「岸田の乱」が成功
岸田文雄前政調会長が「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」とぶち上げた「成果」は予想以上に早く出たということか。結果、在職5年以上で自民党内から「長すぎる」と顰蹙(ひんしゅく)を買ってきた二階俊博幹事長が交代することになった。「テレビに出るたびに菅内閣の支持率が下がり続ける」とも言われていた二階氏を菅義偉首相が切らざるを得なくなったのは、総裁選や総選挙での勝利がおぼつかなくなったからに他ならない。
自民党総裁選、その後の解散総選挙をにらみ、党内の動きが風雲急を告げてきた。朝日新聞デジタル8月31日付でこう報じた。
〈菅義偉首相は31日、二階俊博幹事長の交代を含む自民党役員人事を9月上旬に行う方針を固めた。9月17日告示の自民党総裁選や、衆院選を前に党運営の顔ぶれを代えることで、刷新感を打ち出したい考えだ。(中略)二階氏は安倍前政権で2016年8月に党幹事長に就任して以来、5年以上務めている。党内では、若手を中心に交代を求める声が出ているほか、党総裁選に立候補を表明した岸田文雄前政調会長も続投に否定的な考えを示している〉
政治部デスクAに聞くと、
「岸田さんが総裁選出馬を表明した際に、“総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで”と党改革案を提示したことがキッカケになっています。自民党最長で5年以上も幹事長をやってきた二階さんには党内でやっかみも多い。普段おとなしい岸田さんが珍しくと言うか初めてと言っていいくらい、敢然と、しかも二階さんに匕首(あいくち)を突きつけたわけです」
党内でも「岸田の乱」を評価する声が大きかったという。
「安倍・麻生」に使われた?
「岸田さんは党内第5派閥なので、第1派閥の(安倍晋三前首相が実質的なオーナーである)細田派と第2派閥である麻生派の支持を確かなものにしないと当選は見えてこない。安倍、麻生の両名もまた二階さんが幹事長職に居座り続けるのをよしとしておらず、岸田さんに今回のアイデアを囁いた可能性も取り沙汰されています。しかし、そもそも安倍さんが首相時代に、二階さんを切れなかったことが今に響いているようにも思いますし、8年も財務相をやっている麻生さんに対しては何も言わないのかという声もあります。一見、岸田さんが勇気を出したようにも見えますが、厳しい見方をすれば、二階さんを追い落とすために岸田さんは『安倍・麻生』に使われたと言えるかもしれません」
当の二階幹事長は岸田発言に対し、「就きたいと名乗り出た覚えは1回もない。長いと文句を言われる筋合いもない。失敬だ」と怒り心頭。
「二階さんが画面に映るだけで菅内閣の支持率が下がっていくと言われていて、去年、菅内閣が成立する大きな流れを作った功労者と言える二階さんとはいえ、菅さんは切らざるを得なくなってしまいました」
焦点となるのは新幹事長らが誰になるのかという点だ。
「岸田さんはかねて幹事長をやりたいと首相時代の安倍さんに“おねだり”していたくらいなので、そのお鉢が回ってくれば出馬しないのか? などと揶揄されています。まあそれは冗談として、小泉政権時代に“偉大なるイエスマン”と自称した武部幹事長くらいサプライズがあると面白いのかもしれませんが、なかなか見当たらないですね。安倍さんに気を遣うなら、塩谷立さん(文科相や総務会長などを歴任)とか萩生田光一さん(文科相)、参院ですが世耕弘成さん(元経産相)あたりの名前はチラホラ出ていますけれど、サプライズ感はゼロですね」
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