中居正広 五輪キャスター連続記録途絶えても再評価されたMC力 北京五輪の目も再び

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ミスターから話を引き出す

「彼の野球好きは有名ですから、解説はお手のもの。むしろ彼の実力は、オリンピック終了後の8月15日に放送された『中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!東京オリンピックSP』(テレビ朝日)で見直されたと思います。オリンピック後、各テレビ局ではメダリストを集めた番組が放送されました。そのうちのひとつが、この番組でした」

 東京オリンピックは8月8日に終了した。1週間後の15日では、いささか遅くはないだろうか。

「日本テレビは閉会式翌日の9日に『くりぃむしちゅーの!THEレジェンド東京五輪総集編SP』を放送し、12.3%を獲得しました。それに比べると、かなり出遅れ感がありました。同じ15日には浜田雅功がMCの『ジャンクSPORTS 東京五輪メダリスト大集合SP第二弾』(19:00~)も放送されましたが、視聴率は8.6%でした。一方、中居の『スポーツ!号外』は21時からの放送。各局が一番力を入れている時間帯です。加えて、この日は終戦記念日ですからね。NHKは同じ時間帯に『NHKスペシャル 開戦 太平洋戦争~日中米英知られざる攻防~』を放送していました。そんな中、中居の番組は10.6%を獲得したんです。今期ナンバー1ドラマの日曜劇場『TOKYO MER・走る緊急救命室』(TBS)の15.0%には及びませんでしたが、そのほかの番組を圧倒したことで話題となったのです」

「スポーツ!号外」は、確かに見所の多い番組だった。13年越しの連覇を決めたソフトボールからは、ピッチャー上野由岐子、キャッチャー我妻悠香が登場。大会中、上野は自分のピッチングフォームに納得がいかず、試合ごとにフォームを変え、ようやく決まったのは決勝戦の最終回。その時は「打たれる気はしなかった」と語った一方で、実は3試合目の対イタリア戦(7月24日)で、宿舎にグローブを忘れたという事実には、我妻もビックリだった。

 フェンシング男子エペ団体・主将の見延和靖が登場し、日本人初の金メダルについて熱く語った直後に、実は優勝してすぐにメダルをタクシーに置き忘れて紛失していた(後に発見される)など、終わったからこそ語れる内容が多かったようだ。

「企画も良かったが、それを上手く引き出す中居のトーク力も見事でした。野球のみならず根っからのスポーツ好きですから、的を射た質問ができるので、アスリートからの信頼もある。そしてスポーツ選手をリスペクトしているので、相手に失礼がない。それがもっとも感じられたのは、聖火ランナーを務めたミスター、長嶋茂雄さんとの対談でした。中居は大の巨人ファンであることはもちろん、長嶋さんとは何度も共演しています。二人が顔を合わせたときの長嶋さんの表情が本当に嬉しそうなんです。リハビリ中の長嶋さんですから、言葉がハッキリしないところもあったのですが、その話の腰を折ることなく、足りないところは適度に継ぎ足していました。ツッコむところはツッコみつつも、長嶋さんが楽しそうに話していたのは、中居のトーク力あってのものだったと思います」

 東京オリンピック中継では、NHKは“スペシャルナビゲーター”として相葉雅紀と櫻井翔、日テレは“キャプテン”に明石家さんま、TBSは安住アナ、フジは村上信五、テレ朝は松岡修造、テレ東は小泉孝太郎がメインキャスターを務めた。この中に入っていない中居が、評価を上げたのは意外である。

「逆に、さんまさんや村上が評価を下げましたね。どちらもバラエティ番組では関西弁が活きるキャラですが、スポーツの国際試合、ましてやオリンピック中継となると、関東では特に関西弁は馴染まないと思われるみたいですね。真剣勝負に感じられないと思う視聴者もいるようです。ひょっとすると来年の北京オリンピック(冬季)では、別の局で中居キャスターが見られるかもしれません」

デイリー新潮取材班

2021年8月31日掲載

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