「おかえりモネ」のシェアハウス銭湯は大田区の「明神湯」 女将が見た有名俳優たち

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経営は厳しい

 明神湯には3種類のお風呂がある。

「泡風呂に、熱い湯、それに薬湯です。薬湯は、日曜日はラベンダーを入れますが、それ以外は、その日の陽気によって、森林浴や体の芯が温まるものなど、色々使い分けています」(同)

 料金はこの8月から10円上がって大人は480円。6歳から12歳までが180円。6歳未満は80円だ。大人が小学生以下の子どもを連れてきた場合、2人まで無料になる。営業時間は16時から22時まで。

 ご承知のように、都内でも年々銭湯は減りつつある。

「40数年前に私がここに嫁いできた時は、お客様は沢山いらしたのですが……。経営はなかなか厳しいですね。コロナの影響で、毎日いらっしゃったお客さんも見えなくなりました。ですから、ロケ収入にはずいぶん助けられています」(同)

 番台には、女将さんが座る。

「パートの女性と交代で番台に座っています。北海道で地震が多発したとき、そのうち東京にもと思っていたら、いきなり縦揺れの地震がきたので、女性客に知らせようとあわてて番台から降りようとしたところ、落下してしまいました。手を骨折し頭にコブができましたが、たまたまお風呂にいた元看護婦さんから『早く冷やしなさい』と」(同)

 明神湯は、先代が開業したという。

 ご主人の昇さん(69)はいう。

「息子には、銭湯のメンテナンスのやり方をなにも教えていないので、跡を継ぐのは無理でしょう」

明神湯は、主に薪を燃やしてお湯を沸かしている。そのため湯質は柔らかく、温まりやすいという。

「でもね、薪を燃やすから毎朝窯に溜まったススを掃除しなければならないから大変なんです。薪は、解体業者から仕入れていて、古い家屋の柱を2トントラックにいっぱい積んで持ってきてもらうのですが、夏だと1週間で、冬はわずか4日でなくなってしまいます」(同)

 銭湯の掃除は、息子さん夫婦や中学生の2人の孫も手伝っているという。

「銭湯を維持していくのは大変です。私たち夫婦の体力がなくなれば、そこでお終いだと思っています」(女将)

デイリー新潮取材班

2021年8月31日掲載

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