ワタミ「渡邉美樹氏」が掟破りの社長復帰 経営を支える“三本柱”は絶好調のウラ
融資も返済!?
「緊急事態宣言が出ている地域もあるので全国一律というわけにはいきませんが、和民という名前があることから、『安心して酒を呑んでいい焼肉店なんだ』と好感している消費者がいるのです。公式サイトでも『居酒屋のように呑める』ことを積極的に宣伝しています」(同・千葉氏)
千葉氏の取材によると、「焼肉の和民」の客単価は4000円台あたりだという。コロナ禍でも人気の回転寿司が1000~1500円あたりの客単価だと考えると、これは驚異的な数字と言っていい。
「『焼肉の和民』は、しっかりと“三世代”の顧客を捕まえています。つまり、祖父と祖母が、子供と孫を誘って来店するわけです。高齢者は懐に余裕のある場合が少なくなく、高い客単価を実現している一因でしょう。若年層はアルコールを呑まないという人も珍しくありませんが、特に高齢者の男性は依然として飲酒可能な店かどうかを重視する傾向があります。そうしたニーズも、しっかり捉えているわけです」(同・千葉氏)
こうなると、渡邉会長の社長復帰は、全く違う文脈で読み解かなければならない。好調な路線を更に強化するためだと見るべきだろう。
「渡邉会長が持つ最大の武器は、ワンマンであるということです。批判の多いワンマン経営ですが、意思決定のスピードが速く、思い切った資本投下が可能というメリットもあります。ワタミは日本政策金融公庫から約120億円を調達しましたが、『から揚げの天才』などのFC網構築で、返済の目処が付いていると言われています」(同・千葉氏)
諸刃の剣
もちろん渡邉会長がワンマンであるということは諸刃の剣だ。“独裁者”が経営方針を間違えた場合、それを周囲が修正することは難しい。
渡邉会長は夕刊フジで「経営者目線」というコラムを連載している。7月7日に掲載された「ワタミ『120億円』で反転攻勢!! 都議選『駅前演説は人流抑制に反する』」では、自身の経営方針を自画自賛した。
コラムで渡邉会長は《創業オーナーは、目先の利益に捉われず、長期的ビジョンで迅速に手を打つことができ、大胆なリスクをとることができる》と指摘。
更に《皆の意見を聞きながら「衆議独裁」、自分を利としない「無私の独裁」が最高の組織のあるべき姿だ》と主張した。
果たして、ワタミの未来は──。
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