「マッチングアプリ」「婚活」で人気の男女の特徴は 業界のプロたちが指南
結婚に至るきっかけはさまざま。婚活パーティー、アプリなどで知り合うことも珍しくない。むしろコロナ禍の孤独感に苛まれる結婚難民には頼りになる存在だ。そこで業界関係者に集ってもらい、独身中高年のために、成婚へのプロのノウハウをアドバイスしてもらった。
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――今日は、婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーの会社のかたに集まっていただきました。そして、実録婚活小説『結婚のためなら死んでもいい』を書かれた作家の南綾子さん(40)と、婚活ドキュメント『57歳で婚活したらすごかった』を書いた僕、石神賢介(59)がいろいろ教えていただこう、と。僕はアプリも相談所もパーティーも体験して、成果が上がっていません。
南綾子(以下・南) 私もパーティーとアプリを利用しましたが、成果は出ていません。いきなりで申し訳ないのですが、石神さんは理想が高い……ということはないですか?
――いえ、そんなことはないと思っているのですが。南さんには初めてお目にかかりましたが、婚活しなくてもパートナーは見つかりそうな雰囲気です。
南 そんなことは話してみなきゃわからないですよ。飲み会や婚活パーティーで、私はふつうにふるまっているつもりでも、男性の目からは不機嫌に見えるらしいんです。「つまらないですか?」とか「怒っているんですか?」と、よく聞かれます。でも、いちいち対応するのが億劫で。
――今日は皆さんにアドバイスをいただきましょう。まず、アプリ、相談所、パーティーのシステムをうかがえますか。
岸本俊哉さん(婚活アプリ「パートナーズ」アドバイザー。以下・岸本) パートナーズは主に中高年の男女が対象で、スマートフォンやパソコンでプロフィールや希望条件を入力し、検索機能でパートナーを探します。アプリ内でカップリングしたら、自由恋愛です。
川上健太郎さん(結婚相談所「茜会」統括部長。以下・川上) 茜会は40代以上が対象です。厳正な審査を通過した会員のかたがたご本人の希望や相談所のお薦めする相手とお見合いをしていただき、交際期間を経て成婚、退会になります。
小林美穂さん(婚活パーティー会社「エクシオジャパン」アドバイザー。以下・小林) 平日夜、週末を中心に男女10~20人が参加する婚活パーティーを全国で開催しています。パーティーで気に入ったかたがいたら連絡先を交換して、あとは自由恋愛です。
――コロナ禍で多くのシングルが将来への不安を感じ、パートナーを求めるようになったと聞きます。
岸本 パートナーズの会員数は前年比10%増くらいです。2011年の東日本大震災のときと同じで、大災害が起きると、人生を一人で過ごすリスクを現実的に考えるようになりますね。
川上 相談所は男女対面でのお見合いが前提なので、昨年の緊急事態宣言発令中はちょっと厳しい状況でした。その反動か、今年の春からは活動が活発化しているようです。
小林 エクシオのような婚活パーティーは、コロナ禍で大きくスタイルが変わり、マスクを着用し、席をパーティションで仕切るようになりました。昨年からZoomを利用して自宅で参加できるオンラインパーティーも開催しています。こちらが予想以上に好評で、今は会場型と同じくらいの開催数になりました。
――参加するには何を用意すればいいですか。
小林 免許証やパスポートなど写真付きの公的身分証明書を持参してください。
岸本 パートナーズは公的身分証明書の提出のほかに、任意で独身証明書や収入証明書(源泉徴収票や所得証明書など)の提出もお勧めしています。信頼度が高まるので。
川上 茜会は、公的身分証明書はもちろん、独身証明書、収入証明書、卒業証明書なども必須です。
――公的な独身証明書は、婚活で初めて知りました。
川上 独身証明書は本籍のある自治体、収入証明書は勤務先やお住まいの自治体、卒業証明書は出身校で発行してくれます。
モテるためのコツ
――南さんは、アプリにも登録しているとおっしゃっていましたね。
南 アプリとパーティーは試しました。あまりお金がかからない婚活なので(笑)。30代前半までは友だちからの紹介とか飲み会で出会いがありましたけれど、30代後半から婚活ツールも利用し始めました。私が参加したパーティーはすさまじかったですよ。一部のきれいな女性に男性が殺到して、行列ができていました。
――確かにかつてのパーティーは女性の取り合いでしたね。一方で人気がない人はずっと一人でいました。
南 あれは絶対にトラウマになっちゃう。
小林 ああいう早い者勝ちみたいなフリースタイルのパーティーはほぼなくなりました。今はほとんどが、参加者全員が一対一で均等に会話できるスタイルです。
――「医師・弁護士限定」「モデル・CA限定」のような職業を限定するパーティーもよく見かけましたが。
小林 今は40代、50代60代……と年齢で分けています。エクシオでは「男性の年収600万円以上」というエグゼクティブのパーティーは設けていますが。
――どんな男女に人気が集まりますか?
岸本 アプリは男女ともプロフィールが具体的で前向きな人がよく申し込まれていますね。「一緒に海にドライブに出かけたい」「山を歩きたい」「おいしいものを食べに行きましょう」と、楽しい時間を期待させる人です。持病や直近の失恋などの悩みがあっても、マイナス要因を最初から伝える必要はありません。
――会話での注意点は。
岸本 もらったコメントにきちんと反応することが大切です。アプリは目の前に相手がいないので、つい自分語りになってしまいます。質問することを心がければ、会話が続くはずです。
南 女性との会話に慣れていないというか、恋愛経験が少ない男性の文章は妙に丁寧ですよね。句読点がすごく多いとか。外国人が書く日本語みたいな。
――ほんとうに外国人なのでは? アプリ内には外国人もいて、単語の組み合わせのたどたどしい日本語で連絡をくれますよ。
南 私のケースは日本人でした。仕事のことや近況も書かれていましたから。
――岸本さん、アプリでLINE IDやメールアドレスを交換するタイミングはどうでしょう?
岸本 ケースバイケースです。マッチングしてすぐに交換する人も、1年以上アプリだけでやり取りしている人もいます。
南 1年も!
岸本 もはや婚活ではなく、文通になっています。やり取りするだけでも楽しいのかもしれません。直接の連絡先の交換は会う約束をしたときが無難ではないでしょうか。男性から誘うなら、まずランチをお勧めしています。好きな食べもの、苦手な食べものを確認して、お店を当たってください。
南 せっかくマッチングしても、会う段階になると計画性のない“ノープラン野郎”もいます。
――ノープラン野郎(笑)。
南 けっこういるんですよ。「7月24日(土)新宿駅18時」しか書いてこない男性。新宿駅のどこ? 何食べるの? 予約しなくて大丈夫? たくさんの「?」を抱えて出かけていく。実際に会うと「どこへ行きましょうか? いい場所知ってます?」と聞かれる。一応、こちらも念のため考えてはきているけど、あからさまにプランを丸投げされると「お前、何しに来たの?」と言いたくなります。
川上 そういう男性、婚活じゃなくてもいますね。
南 仕事の場でもノープランなんだろうなあ。
小林 コミュニケーション能力の問題ですからね。
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