【自民党総裁選】「菅さんも岸田さんもダメ。でも岸田さんの方がマシ」と中堅代議士が言う理由

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結局は菅再選?

「276議席から70議席を引くと、206議席になります。自民党単独では過半数割れです。公明党の29議席を足すと235議席となり、辛うじて過半数の233議席は上回ります。とはいえ、これだけ与党に逆風が吹いたとなると、公明党が29議席を維持できるか疑問です。その結果、自民・公明の連立与党でも過半数を割るのではないかという推測が流布しているのです」(同・記者)

 先に、もし岸田総裁=首相が誕生すれば、“ご祝儀相場”が期待できるという代議士の見解を紹介した。しかし、“救世主”となるかと言えば、そんなことはない。

「8月に行われた読売新聞の世論調査で、『次の首相にふさわしい自民党の政治家』が質問されました。トップは石破さんの19%、次点は河野太郎・行政・規制改革相(58)の18%でした。一方、岸田さんは、何と4%に過ぎませんでした。2001年の総裁選で小泉純一郎・元首相は(79)は、地方遊説で“小泉旋風”を巻き起こし、党員票だけで勝利を確実にしました。岸田さんに同じことを望むのは酷というものです」(同・記者)

 前出の代議士は、岸田氏の不人気は理解しているという。

党員も諦めムード?

「菅さんがダメなのは明らかですが、岸田さんでもダメなんです。コロナ政策ではトップダウンで対策をどんどん打ち出す人が向いていますが、岸田さんは慎重な人で、根回しもきちんとやる。全く逆のタイプですからね。発信力もあまりないし、その点は菅さんと似たり寄ったりでしょう。国民から人気が出るとは思えません」

 総裁選は無記名投票だが、しっかりと票読みが行われる。裏切れば「誰だ」と犯人捜しが始まる。国会議員とはいえ、派閥の指示を簡単に無視することはできない。

 ならば岸田氏の勝機はゼロなのか──いや、可能性がないわけではないという。

「カギを握るのは麻生さんじゃないでしょうか。麻生派は自主投票を模索しているという話もあります。更に麻生さんは、幹事長ポストを熱望しています。菅さんが続投なら、幹事長の二階さんも続投でしょう。そこで岸田さんが麻生さんに、『自分が総裁になれば、幹事長のポストを用意する』と密約する手はあります。麻生さんが岸田支持に回れば、他の派閥はもちろん、党員票にも影響を及ぼす可能性が出てくるでしょう」(同・代議士)

 とはいえ、最終的に浮き彫りとなるのは、「自民党の人材不足」だという。

「安倍一強の頃、『安倍さんの後継者がいない』と、党の将来を不安視する声が出ていました。二階さんが菅さんを担ぎ出し、最初は『叩き上げで庶民派のパンケーキ首相』という触れ込みで有権者の支持を集めました。しかし、コロナ禍で指導力を発揮できず、菅さんの支持率低迷に歯止めはかかっていません。この危機を救う自民党の“スター”は、少なくとも今のところは見当たらないのです。総選挙のことだけを考えれば、菅さんより岸田さんの方がマシというお寒い状況です」(同・代議士)

デイリー新潮取材班

2021年8月29日掲載

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