「巨人軍・中田翔」誕生までの水面下の動きについて担当記者らが明かす

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中田中心のチーム作りを行ってきた栗山監督

 同僚への暴行問題を起こし、無期限出場停止処分を受けていた中田翔内野手(32)が巨人へ電撃移籍した。入団会見翌日には代打で出場、さらにその翌日にはスタメンに名を連ねて左翼に特大ホームランを放った。筋書きのないドラマとはいえ、出来過ぎたシナリオのようにも映ったが、プロ野球ファンを翻弄し続けた「巨人軍・中田翔」誕生までに何があったのか。プロ野球担当記者らが明かす「水面下の動き」。

 事件が起こったのは8月4日のこと。エキシビションマッチ・DeNA戦(函館)の試合前だった。同僚・井口和朋投手に中田は手を出したものの、事なきを得て一旦はプレーもできた。が、その後騒動を把握した球団側から自宅謹慎と全試合の出場停止処分が命じられたのだった。

 8月16日になって栗山英樹監督(60)は取材に応じ、大要、以下のように語ったのだった。

《今季中の復帰はもちろん、チームへの復帰も厳しい。謝って許されるのならチャンスを与えたい。「野球を辞めさせろ」という意見があるのはもちろん承知しているが……》

 8月31日に期限を迎える他球団へのトレードについても、否定的な姿勢を見せていた。

「日ハムは中田中心のチーム作りを行ってきました。それを率先したのは他ならぬ栗山監督です。4月に中田が右まぶたを赤く腫らしてスタメンを外れたことがありました。“ベンチ裏で転倒した”ことが原因となっていますが、それだけではなく、中田を快く思っていない選手がいたのは事実のようです」

 と話すのは記者A。

「監督は2012年からチームを率いてきましたが、今季限りで退任が濃厚です。後任は侍ジャパンを率いて東京五輪で金メダルを獲得した稲葉篤紀氏と見られている。監督としては中田を甘やかしてチームが一致団結できていないことへの悔いがあるのと同時に、自身が監督である間に中田の処遇に決着をつけたいと考えていたようです」

獲得を願った原監督

 何しろ無期限の出場停止である。放っておけば引退もちらついてくる。畑は違うが、大相撲だと、大関朝乃山(27=高砂)がコロナ自粛期間中に禁を破ってキャバクラで飲み食いしていた件で、出場停止6場所と6カ月50%の報酬減額の懲戒処分を受けた。復帰予定の場所では三段目からの出直しを余儀なくされると見られる。仮に別の相撲部屋へトレードされたとしても、その重い処分が覆ることはないだろう。

「中田の件は下手をすれば刑事事件に発展していても不思議ではないものです。ただ、16日の監督のコメントを裏返すと、他チームなら生かせる道があるのではないか、できるならそうしたいというニュアンスが汲み取れるのです。もう少し踏み込むと、すでにそのような道が出来つつあるというアドバルーンを上げているようにも見える。残りシーズンを棒に振らせるわけには行かず、助け舟を出すべく、他球団へのトレードにかなり前のめりになっていた印象がありますね」

 中田への処分が下されたちょうどその頃、事の推移を興味深く見つめていた人物がいる。

 記者Bによると、

「巨人の原監督です。放出の可能性が浮上した時点で、監督としては獲得したいという意思を球団に伝えていたと聞いています。球団としては中田の身辺調査を開始し、コンプライアンス的に問題がないか否かを洗ったということでした。表向きは栗山監督から原監督に打診の電話があったということですが、それを額面通りに受け取る人は少ないはずです」

 そもそも同僚を殴ること自体、コンプライアンス的に完全にアウトなのだが、その件以外を洗った、ということだろうか。

 また、巨人軍は原則として、茶髪、長髪、ヒゲが禁止されており、中田はその点でハネられるという見方もないわけではなかった。

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