コロナ禍で世界マネーが流入するNFT市場 日本の各省庁は管轄を押し付け合うお寒い現状

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各省庁とも“押し付け合い”の様相

 国内外でNFT取引の機運が盛り上がる中、クールジャパン経済振興の旗を降ろしていない日本政府の中にも、「時流を見極め、ついていかなければいけない」との声がある。こうした危機感から、政府が6月に策定した成長戦略実行計画には、「非代替性トークン(NFT)・・・に関する事業環境の整備を行う」という一文が盛り込まれた。とはいえ、

「現在進行中のNFTの大ブームを把握できている官僚は、経済産業省や金融庁の若手中心に数えるほどしかいないのが現状です」(霞ヶ関関係者)。

 さらに、現状把握もままならない中で、「(NFTの取引は)消費者庁や金融庁、デジタル庁の管轄ではないか」(経産省関係者)、「美術品取引のような面があり、金融規制はなじまない」(金融庁幹部)と、聞こえてくる声は各省庁“押し付け合い”の様相を呈している。

「NFT取引は暗号資産と古美術それぞれの取引市場の特徴を併せ持つ形態になるでしょう。そのため、将来的には詐欺的な行為やマネーロンダリングを監視する枠組みが必要になるはずです。拙速に規制を設ければ、NFT取引の基盤やスタンダードが国外で整備されて、日本の市場ばかりがしぼんでしまいかねない。NFTバブルが膨らみつつある今、政府は早急に現状を認識し、市場の成長も促すような制度を考えるべきです。省庁同士で管轄を押し付け合っている場合ではないのですが……」(前出金融関係者)

デイリー新潮取材班

2021年8月25日掲載

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