「長崎カジノ」運営事業者審査 落選2社が“出来レース”と県を批判 「中国資本」がネック?

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 カジノ候補地として名乗りを上げている長崎県で不穏な動きが起きている。8月10日、長崎県はIR運営事業者の優先交渉権者として、オーストリアの国営企業関連グループを選定したと発表した。だが、その後、落選した2つの事業者が、“出来レースの疑いがある”と県の審査を批判し始めたのだ。いったい何が起きているのか――。

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着々と開業へ進む「長崎カジノ」

 コロナ禍の影響もあって機運が萎んだようにも見えるIR(カジノを含む統合型リゾート)。日本初のカジノは本当にできるのか。国際カジノ研究所所長の木曽崇氏はこう解説する。

「2018年に制定されたIR整備法により、日本で最初に設立されるIRは3カ所までとされました。有力候補だった横浜市は反対派市長が誕生し、白紙撤回される見通し。一方、確実視されているのが、2025年に万博が開催予定の大阪市、そしてハウステンボス内に開業予定の長崎県です。地元の政財界が歓迎ムードであることが最たる理由です」

 二階俊博・自民党幹事長のお膝元、和歌山県も名乗りを上げているが、「有力候補と言われる大阪との距離が近すぎる」ことなどが理由で、厳しい向きがあるという。

「その点、長崎には懸念材料がない。九州観光の起爆剤として周辺の自治体からも期待が寄せられています」(同)

 当初、長崎県の公募に応募したのは5社。今年3月に行われた1次審査で3社に絞られた。残ったのは、香港の総合金融サービス会社が代表の「オシドリ・コンソーシアム」、オーストリア国営企業が母体の「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」、日本企業のTHE NIKIと台湾の建設会社を代表とした「ニキ&チャウフー(パークビュー)グループ」だった。

「いずれも世界で大規模なIRを展開している大手事業者ではありません。当初は『ウィン』や『ラスベガス・サンズ』など、世界に名だたる大手事業者が日本のIRへの参加を希望していましたが、コロナ禍での開業延期などに嫌気がさして、ことごとく撤退してしまいました」(同)

「倫理的不正の疑いが拭えない」

 8月4日に二次選考の最終プレゼンテーションが行われ、優先交渉権者に選ばれたのがカジノ・オーストリアだった。県は10日に審査結果を発表、月内にも基本協定を結び、運営事業予定者として正式決定する。だが、そのウラで、落選した2事業者が審査結果に疑義を申し立てる事態が起きているのだ。

 まず動いたのは、次点となったオシドリだ。6日、選考結果の発表を待たずして、関連会社のホームページで公募への参加を取りやめると発表した。

〈長崎県が課すIRにおける開発・運営上のルールを改善せず、RFP(公募・選定)プロセスが倫理的かつ公平公正に実施されない限り、長崎IRのRFPへの参加を取りやめることを発表致します。/長崎県が課す制約の多くが不合理であり、現状では合理的かつ効果的な方法で事業を行うことが出来ないと言う判断に至りました。/また、RFPのプロセスにおいて複数の倫理的不正の疑いが拭えない場面に遭遇しました。オシドリは清廉潔白かつ、専門性、透明性が担保された選考プロセス以外は参加を希望しないため、今回の判断に至りました〉

 辛辣に県を批判しているものの、具体性を欠く内容である。だが、18日には、3番目だったニキもオシドリに同調する動きを見せた。「選考過程に問題がある」と審査のやり直しを求める要望書を県に提出したのだ。

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