コロナで自宅療養になったら……絶対知っておくべき「パルスオキシメーター」の使い方を医師が解説

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入院が必要かどうかの判断材料にもなる

 自宅療養中には、保健所等からの健康観察に応じ、体調を報告することが求められる。その際にも、パルスオキシメーターを使って酸素飽和度を測定しておくことが役に立つという。

「例えば『38度の熱が出ていて、息苦しさが続いています』と言うことと、『パルスオキシメーターを使って酸素飽和度を測っているが、数値がずっと93です』と言うのでは、医者が受け取る深刻さの度合いは全く違います。高熱はご本人にとってはとても辛いことでしょうが、医者からすると体温だけでは体調の悪化を判断しづらい。酸素飽和度の数値があれば、すぐに深刻さを判断することが出来ます。ただしここで重要なのが、何度か測定しても常に低い数値が出ているということを正しく伝えることです。この情報があれば、入院が必要かどうか説得力のある判断材料の1つになります」(同)

 加えて、矢野医師は自宅療養中には見逃されがちなある点にも注意を促す。

「パルスオキシメーターを使う時には安静にすることが必要ですが、療養中、常に安静にしておくことは別の危険性を高めます。新型コロナには血液が固まりやすくなるという特徴があるため、固まった血液が肺に詰まるエコノミークラス症候群(肺塞栓症)を引き起こす可能性が高いのです。それを防ぐために、病院では定期的に歩いて運動をするように言われるはずですが、自宅療養だと寝たきりになっている人も多いのではないでしょうか。トイレに行くときや、一時的でも熱が下がり少しでも動けるようになった時には、部屋の中を歩いたり軽いストレッチをしたりして血流をよくしてください。むくみを予防する弾性ストッキングを履くのも良いと思います」(同)

インターネットで購入

 矢野医師も、自宅で使うためにパルスオキシメーターを準備したという。

「少し前にアマゾンで5000円くらいするパルスオキシメーターを買いましたが、届くまで1カ月ほどかかりました。さらに、試しに使ってみると2つ買ったうちの1つは明らかに変な数値が出たため、不良品として交換してもらう必要がありました。病院で使っているものよりも数値が出るのに少し時間が掛かりますが、特に問題なく使えています」(同)

 では、インターネットで購入する場合、どういった商品を選べばよいのだろうか。

「ショッピングサイトでは、数千円程度のものから3万円くらいするものまでたくさんのパルスオキシメーターが販売されています。はっきりとは言えませんが、1000円台のものは品質が心配になるような安さなので、避けた方がいいのではないでしょうか。少し値段が高くなりますが、JIS規格適合のものや医療機器として認証を受けたものもあるようです。様々な商品が出品されており、中には粗悪品もあるかもしれませんから、レビューだけでなく販売元や製造元を確認し、信頼出来そうなものを探してください。健康なうちから準備しておけば、不良品だった場合には返品や交換が出来ます。さらに、普段の自分の酸素飽和度を知ることが出来ますから、もしもの時に備えて、早めに準備しておくに越したことはないでしょう」(同)

 日々の感染対策に加えて、パルスオキシメーターを準備しておけば安心につながりそうだ。

デイリー新潮取材班

2021年8月24日掲載

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